クリエイターにとって働きやすい環境をつくる
精緻なターゲティングを実現してくれるアドテクノロジーが進化しているが、そこで成果を上げ続けるためにはバナー広告のバリエーション、量が必要不可欠となる。こうした環境に市場性を見出し、2007年に設立された会社がクリエイターズマッチだ。フリーランスのデザイナーを中心にクリエイターと協力関係を結び、クライアントの広告制作に取り組んできた。
代表取締役の呉京樹氏は「バナーは様々な制作の仕事のなかでも主役になることはない。だからこそ、あえてバナーに特化したビジネスは勝機があると考えた」と話す。さらにバナーに着目した背景には、フリーランスクリエイターとしての経験を持つ呉氏ならではの問題意識も背景にある。「分業制になることが多い制作の仕事では、デザイナーは自分の仕事が終わっても後工程の待ち時間が長く、生活のキャッシュフローが安定しない。一方でバナーはデザインだけで仕事が完結し、かつ短納期のため、収入の予定が見える」と呉氏は話す。
こうした仕事観は「クリエイターが働きやすい世界を創造したい」という同社のビジョンにも通ずる。同社の制作スタイルは、ディレクターが案件毎に仕事内容とクリエイターの適性を踏まえて、最適な人材をアサインする、というもの。そして、コンペ形式のような対価の発生しない発注には対応しない。だからこそ登録クリエイターのレベルには、細心の注意を払っている。現在、希望者のうち、登録に至る割合は10%未満。「あえて幅を狭めることで、プロフェッショナル集団をつくっていきたい」と呉氏は話す。
創業から9年目を迎え、現在では制作事業のほかに、クリエイターを育成する教育事業、制作業務の効率化に特化したASP事業にも取り組んでいる。教育事業では自治体と協力体制を築いて集客を行い、「学んで終わり」にならない「出口のある教育」を掲げ、福岡・鳥取・宮崎で実績を重ねてきた。ASP事業も立ち上げから4年弱で、広告会社のみならず広告主にも活用されるようになるなど、いずれも好調だ。
今年5月には事業を新たなステージに成長させようと会社のロゴを刷新した。「今後もクリエイティブの領域に特化し…