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REPORT

顧客接点の革新が企業にイノベーションを起こす

JAPAN CMO CLUB レポート

2014年11月6日、セールスフォース・ドットコムと宣伝会議は「JAPAN CMO CLUB」を設立した(CMO:Chief Marketing Officer)。日本のマーケターを支援し、その活動や成果、社会的役割を国内外に発信することを目的とした組織で、会員社同士が交流する「研究会」の場を年6回程度開催していく予定。本コーナーでは研究会の様子をレポートする。

写真左からKCJ GROUP経営企画本部 マーケティング部 部長の関口陽介氏、MasterCard ロイヤリティソリューションズ シニアディレクターの石中弘一氏、「JAPAN CMO CLUB」のCMO、加藤希尊(かとう・みこと)氏(セールスフォース・ドットコム マーケティングディレクター)、カーシェアリング・ジャパン 営業促進室 室長の遠藤祐也氏、日本航空 顧客マーケティング本部 宣伝部 企画媒体グループ グループ長の二木真氏。

3月26日開催の研究会には日本航空、MasterCard、カーシェアリング、キッザニア(KCJ GROUP)の4社のマーケターが参加。各社のカスタマージャーニーを基にした議論を通じ、顧客接点の革新を目指す各社の取り組みが見えてきた。

研究会では毎回、コモディティ化が各社の共通課題として挙がるが、今回も日本航空、MasterCardからこの課題が提示された。MasterCardの石中氏はコモディティへの対抗のために、「ブランドを選択する瞬間以前の接点、コミュニケーションが大事になってきている」との考えを示した。しかし、そこでの体験価値向上に大きな影響を与えるのは、既存顧客から発信される口コミの存在。こうした考えのもと、同社では、かつては「Priceless」のキャッチフレーズでのテレビをはじめとしたマス広告に力を入れていたが、現在では「Priceless」のコンセプトは変わらずに、それを実際のお客さまの利用の場に広げた体験型のコミュニケーションへとシフトしつつある。

日本航空の二木氏も「石中氏の意見に賛同する。自分自身がこれまで長年、営業やマーケティングという、搭乗いただく前のコミュニケーションを担ってきたからこそ実感するのは、結局は利用いただくきっかけをつくっても、最後はリアルな接点での体験ですべてが決まる」との考えを示した。

ディスカッション中には、ホワイトボードを使って各参加者より自社のカスタマージャーニーも披露された。キッザニアの関口氏は、広告や口コミなどをきっかけに来場した後は、約6年から8年と長期に渡って繰り返し来場。キッザニアという場所自体が、メディアになっており、継続して来場する中で、お客さまが成長していくという独自のカスタマージャーニーを紹介した。

またカーシェアのサービス「カレコ」を展開する遠藤氏は、新規のお客さまのカスタマージャーニーを披露。「認知」→「理解」→「入会」→「利用」の順で進んでいくが、せっかく説明の難しい「カーシェア」というサービスを理解して、入会をしてもらっても、入会してから登録作業に日数がかかり、即日では利用ができないという壁があるという。また、利用時にもセルフサービスで携帯電話、ICカードで自動車を開錠するというプロセスが初めての人にとっては操作がわかりづらいという課題も。一方で議論の中では、他の参加者からは「スマホで自動車の鍵を開錠するというステップが面白い」「顧客との接点の中でも、カーシェアを体験する、ユニークな瞬間になっているのではないか」との意見があった。

最後に「JAPAN CMO CLUB」のCMO(Chief Marketing Organizer)である、加藤氏は「前回から参加者の皆さんに、カスタマージャーニーをその場で図解しながら説明いただいているが、業態・業種の異なる企業の方たちが集まってカスタマージャーニーを紹介しあうと、その違いに新しい発見が多くあった。またマーケターの方たちは、発想が豊かなので、『もしかしたら、他のブランドさんのジャーニーのこの部分で自社とコラボできるのでは?』というアイデアが広がっていく」と議論を総括した。

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