データを活用したマーケティングが重視される昨今、サイトのアクセスデータや顧客データなど、取得できるデータが増えていく中で、それをしっかりと目的に合わせて活用するノウハウが不足している。そこでIMJは、あらたに「プライベートDMP構築支援サービス」を開始。自社開発ツールを持たない同社だからこそできる構築支援とはどのようなものか、担当者に聞いた。
アイ・エム・ジェイ 取締役COO 加藤圭介氏(左)、同社 MTL事業本部 本部長 山本崇博氏(右)
広告だけではないCRMまで視野に入れたDMPを
多くのプライベートDMPは、広告配信を想定したものが多く、扱う領域が限定的。IMJは、データの「収集」「保管/統合」「分析/抽出/接続」と、広告配信のみならず、CRM施策も含む「活用」までを、DMPと捉えている。それらのコンサルティング、運用体制構築・教育支援を行うのが、サービスの全体像となる。
マーケティング活動にさまざまなデータが活用されることからDMP(Data Management Platform)の重要性が指摘されている。IMJは企業が自社で保有するさまざまなデータや外部から取得する第三者データを活用したプライベートDMP構築を支援するサービスを5月にスタートした。
サービス提供の背景について、同社取締役COOの加藤圭介氏は、DMPが広告配信のためのデータを集める箱、という狭い範囲でしか語られないことが多い点を指摘。そのうえで「DMPとはデータの『収集』『保管・統合』『加工・抽出・接続』、そして『活用』まで全ての領域をカバーする複数のツール群であると捉えている」と話す。また、広告主から、「マーケティングツールがたくさんありすぎて、何をどう選べばいいのかわからない」、という声が多かったこと、広告だけでなくCRMの領域にもDMPは必要であること、そしてDMPを効果的に運用するために必要なコンサルティング力という同社の強みが発揮できることからサービスをスタートした。
要件定義から運用体制の人的支援までをサポート
具体的なサービスの流れは、3つのステップに分かれる。ステップ1が「ビジネス要件定義」。プライベートDMP構築の目的を明確化するために、課題を整理してビジネスゴールを設定し、目的達成のために必要なアクションと、必要なデータは何かを明確化。その上で、データ活用ロードマップを作成し、スケジュールに落とし込んでいく。MTL事業本部 本部長の山本崇博氏は「単にツールを選定するのではなく、データをどのように活用すればいいのか、そもそもプライベートDMPを構築すべきなのか、といった基本的なことも聞いていく。システム構築だけでなく、中長期的に活用するための運用体制の構築も欠かせないので、この段階が最も重要」と話す。
ステップ2が「ツールの導入」。山本氏は「データをいかに使いやすい形にするかというDWH(データウェアハウス)の設計構築は、分析スピードを大きく左右する。また、顧客管理のダッシュボードというのは、プライベートDMPにおける肝の部分。アクティブ会員の人数、サイト閲覧頻度など、分析・活用に向けてわかりやすく可視化する必要がある。我々は企業の目的や所持しているデータに合わせてBI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどを活用しそれぞれのお客さまに合ったダッシュボードを構築する。すると、どのセグメントにどういった施策をすべきかもわかりやすくなるし、意思決定のスピードも早くなる」と話す。
具体的な施策を考える際のセグメント抽出は、プログラムが書けないマーケターでも、簡単に選択して抽出できるようにする。これによって、勘や経験だけでなく、しっかりと数字に裏打ちされたセグメントの設計を誰でも行うことができる。
ステップ3が「運用体制構築」。構築以上に大切なのが、運用体制を整えて、企業に定着させること。いまや、企業は、ある一定の領域まではマーケティングの仕組みを内製化し、PDCAのスピードを上げていく必要がある。とはいえ、内製化するには、準備やトレーニングが必要となる。加藤氏は「社内にナレッジを蓄積したいという要望も多いので、将来の内製化に向けた、戦略立案・施策実行を推進できる運用体制の構築・支援や教育サービスも提供する」と話す。
経験豊富なコンサルタントが最適なサービスをフラットに選択
このサービスで特徴的なのが、同社はDMPに必要なツールを自社開発して持っているわけではないということ。あくまで第三者の視点でクライアントに寄り添い、フラットにツール選定を行えるのだ。「自社でツールを開発・販売しないからこそ、本当の意味で企業の要望に合ったツールを選択できる。多くのテクノロジーパートナー企業と提携しているため、ツールの選択肢も豊富」(加藤氏)。また、データ分析・最適化に精通したコンサルタント約50人が、企業のデジタル領域のマーケティングを長くサポートしてきたノウハウを生かし、具体的な施策や運用まで、幅広く対応できるのも強みだ。
こうしてプライベートDMPを構築・運用すると、自社商品・サービスを購入・利用してくれている顧客の行動や人物像を会社として把握できるようになる。山本氏は「施策ごとのパフォーマンスを高める部分最適から、企業単位でパフォーマンスを高める全体最適の視点で考えられるようになる」と導入のメリットについて述べる。加藤氏は、「リアル店舗、ウェブ、アプリ、メールなど、さまざまなチャネルで生活者と接するオムニチャネル化が進む中で、情報を統合してどこでも最適なコミュニケーションができることが、顧客ロイヤリティ向上のために欠かせない。そのための必須かつマーケティングのベースとなる部分をこのサービスで構築できる」と価値を語る。
すでに複数企業で導入が進行しているという同サービス。今後、従来から提供しているコミュニケーションプランニングや、クリエイティブ制作などのサービスとの連携を強化し、マーケティングの最適化をサポートしていく。
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