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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本―コンセプト開発

コンセプトは企画書の飾りじゃない 機能するコンセプトとは

細田高広(TBWA\HAKUHODO)

サイモン・シーネックが提唱する「GOLDEN CIRCLE」をもとに作成

機能するコンセプト 機能しないコンセプト

優れたコンセプトは、必ずしも「かっこいい言葉」である必要はありません。優れているかどうかの判断基準は、常に機能するかどうかという一点にかかっています。

優れたコンセプトを持つことの一般的なメリットを2つ挙げておきましょう。まずは、チームのメンバーが、進むべき道を明確に把握できるようになるということ。目的がクリアになれば、達成するための手段として様々なアイデアが誘発されます。コンセプトとはメンバーの発想を刺激するものであるべきなのです。もうひとつは、コンセプトの受け手であるオーディエンスやユーザーを魅きつけることです。

コンセプト開発には2つのことを意識することをおすすめします。

ひとつは、アイデアの真ん中をつかむこと。COCNEPTの語源はCON(強調の接頭語・「しっかりと」の意味)+CAPERE(捕まえる)だと言われています。中でも新しい何かを生み出す際のコンセプトとしては、アイデアの中心を捕まえる言葉が求められるのです。

図1を見て下さい。サイモン・シーネックの提唱するGOLDEN CIRCLE(コミュニケーションで重要なのはWHY→HOW→WHATの順番だという論考)ですが、これはコンセプト開発にも当てはまります。いちばん大事なのは真ん中の「WHY?」。なぜ新商品や新しいサービスがいま必要なのか?何が新しいのか?に答えることを意識してみましょう。画面が3インチ大きくなった、液晶がきれいになった、音質が上がった、というスペックはあくまで周辺のWHAT。スペックと事情を上手いことまとめたものをコンセプトと呼んではいけないのです。

喫茶店を例にとって考えてみます。「最良のコーヒーと、最高の空間」というコンセプトを新しい喫茶店が持つとしたらどうでしょう?機能するかどうかという視点でみると、その効果は弱いと言えるでしょう。その言葉は目指す喫茶店の「WHAT」しか語っていないからです。第一、似たようなコンセプトを掲げた場所がたくさんありそうですよね。WHATで言葉を開発すると、たいてい、他と似通ったものになります。ちなみに、スターバックスのコンセプトは、家庭と職場の間にあってくつろげる「第三の場所」でした。この言葉はなぜスターバックスが世の中に必要なのかを物語っています。WHY?の問いかけに答えている。スターバックスを特徴付ける、ゆとりを持った家具の配置、音楽の選定、香りの設計などWHATのすべては「第三の場所」という言葉を求心力にして束ねられているのです。

たった一行の言葉が、ブランドの運命を左右する

ふたつ目は、企業目線ではなく、ユーザー目線に立つこと

かつて「5GBのMP3プレイヤー」というコンセプトで生まれたプロダクトがありました。

確かに音楽をたくさん入れることができたのですが、いまいちMP3プレイヤーの市場は広がりませんでした。その数年後 …

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