民間の情報システム企業で経験を積んだのち、現在は内閣官房で政府CIO補佐官として活躍する平本健二氏。官のみならず、産学のCIOとの交流も多い平本氏に、CIOから見た現在のマーケティング部門の役割を聞いた。
平本氏もプロジェクトにかかわる、中小企業・小規模事業者を支援する「ミラサポ」。平本氏は行政のオンラインサービスも、サービスを始めて終わりではなく、魅力的なユーザーエクスペリエンスの提供までを見据えた姿勢が必要になっていくと考えている。
事業部出身のCIOが増えている
「CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)とCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)は一体化してきている」と話すのは、内閣官房・政府CIO補佐官の平本健二氏だ。
2014年まで産官学の垣根を越えて、CIOが集まる場「CIO百人委員会」のモデレーターも務めてきた平本氏は、テクノロジーの進化に伴い、CIOに求められる役割も、そしてCMOに求められる役割も大きく変化してきたと感じている。さらに「ここ数年は、事業部出身のCIOが増える傾向にある。IT畑しか経験していないCIOは減ってきているし、企業の中で以前と比べてマーケターとも意識の共有を図りやすい環境が整ってきているのでは」とも話す。
テクノロジーの進化による変化の最たるものが、「ビッグデータ」の存在だ。
以前であればマーケターが活用できるデータは、消費者アンケートの結果、お客さまからの声、あるいは販売データといった限定的なものだったが、インターネットさらにはスマートフォンが浸透し、オンライン、オフラインの行動履歴データまで取得できるようになっている。ビッグデータ時代においては、マーケターとITの専門家が手を組まないと、そもそも互いの業務が回らない状況がある。
「マーケターが取得できるデータは、よりリッチになっている。だからこそ大量のデータから光る鉱石を発掘するための、データにふるいをかける技術が必要になる。迅速に効率よくデータを扱うためには、マーケターとITの専門家が協力して仕事をすることが必要になってきている」。
ゼロが1になる瞬間を捉える
さらにテクノロジー領域で、いま最も関心を寄せられているのが家電や車がインターネットにつながるIoTの浸透だ。
「もののインターネット化が進めば …