将来に大きな不安を抱えつつ、日々の節約にも飽きている消費者。彼らの消費意欲に火をつけるものとは一体何なのか。雑誌編集者や、消費アナリスト、コラムニストなどが、「価格」だけでない、消費者の“欲しい”スイッチを分析する。
大給近憲 氏光文社 『Mart』編集長 |
ママ友消費
個人消費は、景気のカギを握ると言われている。消費者は「個人」の判断だけでモノを買っているかというと、そうでもない。自分がコレと決めていても、他人の評価は気になる。ネットショッピングで、ついついレビューに目が行きがちなのもそういうことだろう。さらに消費に現実的に影響するのは、自分を取り囲む周囲の考え方。『Mart』の読者は、美味しいものを取り寄せると、近所のママ友とそれを味わう。美味しいパンが焼けたら、おすそ分けをして、出来上がりを試してもらう。
ひと頃、地域コミュニティは、そこで「浮かない」「目立たない」ようにという息苦しいものだったが、いまは違う。特に震災以降、地域コミュニティは信頼できる価値観の基準になった。周りで確かめ合って、納得できたことを実行する。ママ友の意見は、その一番の拠り所になる評価基準と言える。
電通ママラボは、「スマホを保有し、調べた情報をママ友と話題にする」人を「スマホ波及ママ」とした。暇さえあればスマホをいじっている、いまどきの主婦である。8割がLINEユーザーで、6割がFacebookユーザーであることからすれば、情報交換は専らネットでと思いきや …
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