過去、税制をはじめとする制度改革が行われた際、消費者心理はどう動いたのか。そしてその時、大手広告主企業はどう対応したのか。2014年4月の消費増税と、2009年以降のエコ関連制度施行にフォーカスして振り返り、今後の企業対応のヒントを探る。
2009年 エコカー減税
家電エコポイント制度
2009年5月、地球温暖化対策、経済の活性化、および地上デジタル対応テレビの普及を図ることを目的にスタートした「家電エコポイント制度」。環境省・経済産業省・総務省の発表(2011年6月)によると、同制度によって家電3品目(薄型テレビ、エアコン、冷蔵庫)の販売額は約2.6兆円押し上げられ、出荷台数ベースでは2008年度から2009年度で24%増、2009年度から2010年度で43%増を達成したという。また、制度実施期間の省エネ家電製品の普及に伴うCO2削減効果は約270万トン/年と推計、経済対策面のみならず、地球温暖化対策の観点からも効果があったとしている。
立教大学経営学部の有馬賢治教授も、「得られたポイントによって、新たな商品が手に入る。この分かりやすい“お得感”が、世代を問わず受け入れられた印象がありました」と当時を振り返る。企業の動きとしては、「ファミリー層を中心に、買い替え促進を狙ったプロモーションは行われていましたが、このタイミングで一気に市場を拡大しようという動きはそこまで目立たなかったのでは。目下の売上目標達成だけでなく、“その先”を見据えている企業も多かったのだと思います。『グリーン家電を買うとお得』ということを消費者が学習すれば、もしいま買わずとも、今後の買い替えのタイミングにより省エネ性能の高い商品を選ぼうという意識が芽生えます。企業はそれを見越して、長期的な視点で商品開発をしていくというわけです。企業は目先の制度に対応するのみならず、5年後・10年後を見据えた長期的な計画を持って対応していくことが望ましいと言えます」と話す。
同制度は、消費者にはどのように受け入れられていたのだろうか。調査会社のクロス・マーケティングが …