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特別対談

日本人も気づいていない 日本の新しい魅力を探る!

2015年ミラノ国際博覧会 加藤辰也×トム・ヴィンセント×テレビ東京 村上徹夫

今年5月に開催される「2015 年ミラノ国際博覧会」、2020年の東京オリンピックと、日本のインバウンドビジネスを拡大させるチャンスが到来しています。こうした中、企業はどのように“日本ブランド”を活用し、効果的なブランディングおよび売上向上を図るべきなのか。異なる立場から関わる方々に意見を交わしてもらいます。

日本人も気づいていない海外から見た日本の魅力とは?

2015年ミラノ国際博覧会
2015年5月1日~10月31日の184日間、イタリア・ミラノで開催される国際博覧会。「地球に食料を、生命にエネルギーを」をテーマに約140の国と国際機関が参加し、各国でパビリオンを展開する。日本の出展コンセプトは「Harmonious Diversity-共存する多様性-」。



日本館の展示は6つのシーンに分かれて構成される。写真(上)は「SceneⅠ HARMONY」でのイメージ画像。ハーフ・ミラーと映像装置を組み合わせた幻想的な空間で日本の四季の田園風景を体験させる仕掛けをつくっている。そのほか、パネル展示やワークショップ、映像やレストランなどを通し日本の魅力を伝える。

――はじめに、現在の皆さんのお取り組みについて教えてください。

加藤▶ いよいよ5月に開催されるミラノ国際博覧会に向け、日本館の出展の準備をしています。5年に一度の大きな万博で、最近では2005年に「環境」をテーマにした愛知万博、10年には「都市」がテーマの上海万博と続き、今回は「食」をテーマに開催されます。地球規模の食料の安全・供給に関わる課題などに対し、日本としてどういう貢献、取り組みをするかを紹介していきます。それに加えて、今回は日本の食材、食文化を世界に発信する大きなチャンスと捉えています。日本ブランドのPRによってインバウンドに結びつけていく、それを官民一緒になって実現できたらと期待しています。

ヴィンセント▶ 私は30歳を目前にした1996年に日本に移住しました。オンライン美術マガジンの海外版編集や様々なWEBプロジェクトに参加し、一方で各地の地域活性化のプロジェクトに携わってきました。結果として日本の良さを世界に伝える活動を続けている状態です。

現在、私の生活の拠点は、愛知県豊田市の山奥です。この山間部で、放置されて荒れ放題の竹林を整備し、刈り取った竹を商品化・販売して産業の創出、地元経済の活性化を図るプロジェクトを、豊田バンブーという会社を作り起こしています。竹の問題は深刻です。昔の竹製品の多くがプラスチック製品に取って代わり、竹が増えすぎたことで、それが社会的問題にもつながっています。しかし、竹は何にでもなれる“魔法の素材”です。私たちの狙いは竹でジャパンブランドをつくること。ほとんど0からのチャレンジですが、竹はエキゾチックなものとして諸外国ではとても人気。また、加工によって近代的なものも作れるので、可能性は無限に広がります。

村上▶ 私は、お二人のように日常的にインバウンドに関わっているわけではなくて、テレビ番組のプロデューサーをしています。いま手掛けている番組のひとつが「YOUは何しに日本へ?」という月曜夜7時から放送している番組です。

訪日客の玄関口、空港で勝手に出迎えて、面白そうな外国の方に突撃密着取材をするという内容です。今までのテレビのセオリーを破り、もともと仕込んだものでなく、現場で起こることを伝えています。13年の放送開始から約2年で3万人の訪日客に話を聞いており、その一部を放映している次第です。

ヴィンセント▶ 成田空港でたまに見かけます。いつも声をかけられるんじゃないかとびくびくしています(笑)。とても楽しい番組ですよね。

村上▶ おかげ様で、もともとは土曜の昼に特番として放映したのですが、反響が大きかったため、深夜に移り、今では月曜19時のゴールデンタイムに放送しています。同じ時期から、各局で訪日客が日本を褒める、たたえる番組が増えてきたのですが、あえて当番組はクールに、やみくもに日本を褒めるだけにしないようにしようというスタンスでやっています。

日本に旅しに来た人や、伝統に触れに来た人など、訪日の理由は本当に様々です。彼らに密着していると日本の良さ、特に地方の良さに気付かされます。地方に行くことが多いのですが、特に高齢者の方たちは外国人客を本当に良くもてなしていると感じます。素朴で優しいのです。

ヴィンセント▶ 私もそう思います。私たち外国からの移住者に対しても、特に地方では特別な気遣いをしてもらっています。

村上▶ 最近では、「おもてなし」がビジネスワードのように使われていますよね。でも、それって宙に浮いている気がするんです。先ほどお話しした例で言えば、外国の方を迎える時のハートこそが真のおもてなしなのではないかと思います。

ヴィンセント▶ 同感です。例えば、日本のコンビニでは皆「いらっしゃいませ」って言ってくれるけど、この挨拶ってどこかマニュアル的な気がしませんか?私の実感としてはマニュアルがなければないほど、おもてなしを感じます。

地方のお年寄りは、皆さん非常にフランクで親しみやすいですよね。このフランクさは都会人には、ほとんど見られないものです。

村上▶ 人に対する好意が無償なんですよね。見返りを求めていないというか。番組で、ヒッチハイクで日本を旅しているイスラエルの青年に付いて行ったことがあるのですが、その青年はキャラクターがどちらかというと薄い。でも旅先で出会う、青年を取り巻く人たちがとても魅力的なんです。ヒッチハイクした車に乗せてもらった時に、運転手から「メシ食うか?」と言われてラーメンをおごってもらったり、泊まるところがないと話をしたら、「家に来るか?」と、泊めてもらったりしていました。

「YOUは何しに日本へ?」
毎週月曜日18時57分~20時に放送されている …

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