1月28日、宣伝会議ではCM・メディアリサーチを手掛けるスイッチ・メディア・ラボの協力を得て、読者セミナー「データ活用がテレビのマーケティング効果を高める」を開催した。

トヨタマーケティングジャパン、取締役 コミュニケーション局 局長の土橋 代幸氏

スイッチ・メディア・ラボ代表取締役社長の福羽泰紀氏
デジタルマーケティングの登場以降、マーケティング活動において、より精緻なターゲティングが求められるようになっている昨今だが、マス広告、とりわけ広告投資の中でも圧倒的な予算を占めるテレビにおいては、プランニングや効果検証において、データを有効活用する状況には至っていない。
そこで1月28日、宣伝会議ではスイッチ・メディア・ラボの協力を得て、先進企業のテレビ広告活用事例と豊富なプロフィールで個人生活者のテレビ視聴分析を可能にする最新データを紹介するセミナー「データ活用がテレビのマーケティング効果を高める」を開催した。
セミナーはトヨタマーケティングジャパン、取締役 コミュニケーション局 局長の土橋代幸氏の講演よりスタート。土橋氏は同社のテレビCM「TOYOTOWN」シリーズなどの事例を紹介。「クルマと消費者の関係が大きく変わる中で、まずは広くトヨタのクルマに興味関心を持ってもらおうと、車種ごとのCMから新しい広告のフレームである『TOYOTOWN』シリーズに変更した。広告会社もタレントもクリエイターも一括りにして「TOYOTOWN」というストーリーの中で広告を展開することで、一連のシリーズによる広告の到達効率は、従来の広告活動に比べて5割以上増加した」と話した。一方で、テレビ活用に際しては、さらに効率的に活用していく上で、より精緻なデータが必要とされているとの考えを示した。
続いてスイッチ・メディア・ラボ 代表取締役社長の福羽泰紀氏が登壇。福羽氏は2014年10月から提供を開始した、テレビ視聴分析クラウドサービス「SMART」について解説。同社では調査対象世帯のテレビに視聴データの測定装置を取り付け、テレビ番組やCMの視聴状況データをインターネット経由で収集。関東1都6県エリアを対象に、2000世帯5000人規模でテレビ調査モニタを構築し、サービス拡充を進めてきた。
「SMART」はテレビ視聴データを秒単位で取得し、ほぼリアルタイムで速報値を把握できる特長がある他、基本属性のみならず、アンケートで定期聴取した職業、未既婚、世帯年収、子供の有無や学齢、ライフスタイル・生活価値観など100以上の詳細な項目で5000人の個人視聴を分析できるので、テレビ番組やCMのプランニング・効果測定においても、より精緻なデータ活用が可能となる。
セミナーの最後には、福羽氏に加え、サントリー食品インターナショナル、食品事業本部 宣伝部長の三好 健二氏と資生堂、国内化粧品事業部 コミュニケーション統括部長の小出 誠氏といずれも、テレビCM活用の実績のある2社が登壇し、パネルディスカッションを開催。両社からは「これまでのデータでは、現在のマーケティングプランニングに対応できるほどの粒度にはなっていなかった。テレビ視聴スタイルの変化に対応した新しいデータが必要と考えている」との話がでてきて、データの活用でまだまだテレビCMの効率は上げる余地があるとの考えが示された。

写真右からサントリー食品インターナショナル 食品事業本部 宣伝部長の三好 健二氏、資生堂 国内化粧品事業部 コミュニケーション統括部長の小出 誠氏、スイッチ・メディア・ラボの福羽泰紀氏。
株式会社スイッチ・メディア・ラボ https://www.switch-m.com/