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広告を「読む」。

広告を読めば、なんかいろいろ見えてくる。例えば「未来」のこと。

山本高史

広告を読めば、なんかいろいろ見えてくる。例えば「未来」のこと。

小学館(1978年~)コピーライター 杉山恒太郎

4月というのは、つまり「やさしい月」なんだな、と思ったことがある。

水は温み、桜で、花見で、フレッシュマンで、ということもそう思わせているのかも知れないが、それよりもぼくが気にかけたのは、その「不意の再スタート感」である。4月はフレッシュマンだけじゃなく、ぼくらリフレッシュマン(©眞木準さん)にとっても始まる月である。「年度」の起源には諸説あってはっきりしないようだが、とにかく1月に暦が始まってから間もないのに、不意にもういちど始まりがあるのである。言い換えれば、ぼくらはもういちど始められる。一年の計の隣では三日坊主が苦笑いしているが、その坊主にも4月には再度チャンスが与えられる。「人生は何度でも始められるということを、4月という月が毎年教えてくれている」と嘯(うそぶ)いてみたところで、さほどは咎められまい。4月は基本的には誰もに(花粉症の人は大変だが)チャンスをくれるやさしい月なのだ。

とりとめもない書き出しになった。どうしても4月という月の意味から始めたかった。なんせ今回は、「ピッカピカの一年生」である。ピカピカ、ではなく「ピッカピカ」である。このキャンペーンは小学館の学習雑誌『小学一年生』のもので、1978年から杉山恒太郎さんを中心に始まった。「 ♪ピッカピカの」というサウンドロゴは今でも耳に残り、子ども好きじゃなくても愛せる子どもたちのシーンは、オンエアごとに話題となった。このページに載せてあるそのワンカット(写真下)は、次のようなやりとりのものだ。

向かって右の男子が「小学校行っても、もうケンカせんけんのう!」と言って、向かって左の男子をいきなり叩く。それに対して叩かれた方は「きびしいのう」と、笑みを崩さぬまま顔を押さえる。1980年のオンエアなので、今これを読んでくれているある年齢以上の人には、記憶があるかもしれない。

杉山さんに「ピッカピカ」に関してお話を伺うことができた。テレビコマーシャルにおいては当時まだ異色だったビデオ機材のこと …

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