400以上のブランドを有し、世界190カ国あまりで事業を展開する消費財メーカーのユニリーバでは、全社を挙げて社会貢献活動が推進されている。事業そのものと社会貢献活動とが深く結びつく企業文化を持つ、同社の取り組みについて聞いた。
同社のビジネスモデルのアウトプットには、継続的な成長、環境負荷削減、社会へのいい影響という3要素がある。
創始者の意思を継承 目標も数値で具体的に設定
「サンライト」石鹸の誕生から100年以上経つ現在でも、創始者の理念が受け継がれている。
ユニリーバの歴史は、創始者のウィリアム・リーバ氏が1884年、英国の衛生状況を改善したいという思いで「サンライト」という石鹸を発売したことから始まる。当時はまだ手洗いなどの生活習慣が普及しておらず、下痢や肺炎を患って亡くなる子どもが絶えなかった。この状況を変えるために同社が市場へ送り出した石鹸によって、やがて衛生習慣が広まり、英国の暮らしは改善されていった。
同社では、こうした創始者の思いが現在も事業の根幹に据えられている。2010年には、「環境負荷を削減し、社会に貢献しながらビジネスを2倍にする」というビジョンのもと、「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン(USLP)」を発表した。「すこやかな暮らし(健康・衛生)」「環境負荷の削減」「経済発展」の3つの分野において、それぞれ2020年までの数値目標とアクションプランを具体的に設定。サステナビリティを推進すると共に、ブランドの成長やイノベーションの強化、市場開発、コスト削減にもつなげていく取り組みを各国で進めている。
例えば、紅茶の代表的なブランドである「リプトン」では …