電通は、ここ数年でグローバル体制とデジタル領域の強化を加速させることで、複雑化する広告主のマーケティング課題を解決する体制を整えつつある。英イージス・グループ買収をリードした石井直社長に、2015年の取り組みや経営方針、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた展望などを聞いた。

電 通 代表取締役社長執行役員 石井 直 氏(いしい・ただし)
上智大外国語学部卒業後、1973年電通入社。営業局長を経て、2002年常務執行役員。常務、専務として営業部門や海外事業を担当したのち、2011年4月から現職。
「文化の衝突」乗り越えグローバル展開を加速
─2015年の国内経済と広告界の動向をどう見ていますか。
電通グループのメディアエージェンシーCarat(カラ)の推計によると、日本の広告市場の2015年の成長率は、2014年(前年比2.0%)から0.2~0.3ポイント鈍化すると予測しています。
確かに国内を見渡すと、短期では不透明感が漂っています。2014年は消費税が8%に増税され、年末には衆議院の解散総選挙が行われました。マーケティング活動における好機をうかがいつつ、「少し様子を見たい」というのが、多くの広告主のマインドかもしれません。
海外を見てみると、春には食をテーマにしたミラノ万博が開かれます。和食が世界で注目されている中で、関連する日本企業にとってもプラスの効果が見込まれます。夏には北京で世界陸上があります。2016年のリオデジャネイロオリンピックに向けた機運も高まってくるでしょう。
─グローバル展開を加速させていますが、その手応えは。
イージス・グループを買収し、海外事業を統括する「電通イージス・ネットワーク社」を立ち上げてから間もなく2年が経ちますが …