デジタルマーケティングという言葉では捉えきれないイノベーションが次々に生まれる中、企業と生活者のコミュニケーションが向かう先とは。時代を牽引するイノベーターたちに、現在のメディアやコンテンツ、そして2015年のビジョンについてそれぞれの立場から語ってもらった。
左から、電通ブルー 吉羽一高社長、グライダーアソシエイツ 杉本哲哉社長、バスキュール 朴 正義社長。
ユーザーの変化に伴い変革を求められるメディア
吉羽▶ 電通の子会社である電通ブルーの代表を務めています。2014年10月にスタートしたばかりの会社で、事業領域は定めていません。例えば最近、「246」というスマートロックを作りましたが、鍵を売るだけではなく、鍵というものに関連して起こる問題をどうするかについて考えることが事業の軸になります。新しいことを考え、自らプロダクトを作ることでイノベーションを起こすことを目的にしています。
杉本▶ 2000年にインターネットリサーチ事業を行うマクロミルを立ち上げ、現在はスマートフォン向けのキュレーションメディア「アンテナ」を運営するグライダーアソシエイツも経営しています。スマホの時代になり、これまで以上にネットへビジネスがシフトしていく中で、既存のメディアが持つ優良なコンテンツをスマホから生活者へ発信できないかと考え、「アンテナ」を始めました。現在、ユーザーは約400万人います。
朴▶ 2000年に、インタラクティブコンテンツの企画開発をするバスキュールを創業しました。元々はPCブラウザに特化した仕事が主でしたが、現在はあらゆるデバイス、特にスマホをどのように使えば面白いことができるかという仕事が増えてきています。数年前からテレビでメディアとソーシャルを絡ませる仕事を始めていて、ここ2、3年で、100回以上のネット連動番組に携わりました。
電通ブルーが手がけるスマートロック「246(ニーヨンロック)」。コンセプトモデルの「246 Padlock」。
様々なメディアのコンテンツをキュレーションし、生活者に届けるAntenna[アンテナ]。2014年12月現在、400万人が利用している。
みんなのツイートが集まると、プレゼントの入った箱の鍵が開くTwitter Japanとのコラボイベント、#クリスマスボックス。
―現在のメディア環境や状況を、どのように捉えていますか。
杉本▶ iTunesのようなマーケットプレイスやYouTubeなどのメディアの登場で、大資本の背景を必要としない小さな経済がたくさん生まれる時代に変わりました。これは事業構造の大きな転換で …