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顧客とつながる カスタマーエクスペリエンスの創造

消費者に選ばれる店舗に 百貨店のおもてなしをアップデート

大丸松坂屋百貨店

売上の低迷が続く百貨店業界の中で、大丸松坂屋百貨店はデジタル・リアル店舗の両方で次々と新たな施策を講じている。客足の回復だけでなく世代を超えた新規顧客の開拓も図る試みのカギは、カスタマーエクスペリエンスにあった。

ハウスカード顧客では、EC・店頭両方のチャネルで購入している人の買上額(半期合計)はECのみ購入している人の9倍であり、店頭のみの人の2.3倍にもなるという。

顧客ピラミッドの下層にアプローチ

全国の百貨店が苦境にある中、百貨店の大丸と松坂屋を運営するJ.フロントリテイリングでは、2012年にグループに加わったパルコと3社合同でSNSを活用した企画を実施するなどし、客足回復だけでなく新規顧客の開拓に動いている。そのため、同社では顧客に提供する価値をさらに向上させようと、様々な取り組みを行っている。

大丸松坂屋百貨店の営業企画部デジタルマーケティング担当の洞本宗和氏は顧客との関係性について「見直そうという機運が高まっている」と語る。洞本氏によると、外商顧客を頂点とする「顧客のピラミッド」の中で自社発行のクレジットカードを所有している人、現金ポイントカードを所有している人を含めた「ID化されている顧客」による売上が全体の7割を占めるため、この層に対しては個別にDMを送るなどして来店促進を図ってきた。

一方、他社のクレジットカード利用者や現金で支払う人に対しては、これまで新聞折り込みのチラシやテレビで物産展を取り上げてもらうなどの「マス」でしか訴求してこなかった。しかし、今後を見据え、新規の顧客開拓のために、この層に対してもっと精度の高いコミュニケーションをしようという流れになっているという。

そこで、顧客ピラミッドの層に関わらず、大丸・松坂屋というブランドに対して好意を持っている人たちとコミュニケーションをとるためにツイッターやフェイスブックといったSNSを使った取り組みが始まった。「我々のような小売業からすると、カスタマーエクスペリエンスの向上は昔から意識してきたことなんです。ただそれをうまく消化できていたかといえば、中途半端だったかもしれません。販売チャネルをはじめ、取り巻く環境が変化する中、これまでのやり方が通じなくなってきている現状で、ECを含め、デジタルメディアも顧客を生み出す一つのタッチポイントとして認め、大事にしていこうということです」と洞本氏は話す。

SNSは「日々のポストでナチュラルな関係性を築いていく」(洞本氏)という姿勢で運用しているが、LINEのスタンプやフェイスブックのチェックイン機能を使ったO2Oの仕掛けも行っている。2013年12月には、大丸松坂屋百貨店、パルコ、PLAZAのグループ3社共同でオムニチャネル企画「Xmas BINGO PARTY」も実施した。店舗への来店を促すゲームをストーリーの一部分とするゲーミフィケーション型の企画で、開始2週間で10万回(平均で1店舗あたり約1000回以上)の店舗送客を実現した。この企画で、大丸・松坂屋に初めて足を運んだゲームユーザーも多く、新たな顧客体験につながる施策となった。

SNSで誘客し店舗で購買後のケア

そして2014年9月、新たにスタートしたのが新興の家族限定SNS「wellnote(ウェルノート)」とのコラボレーションだ。同社営業企画部販売企画担当の野中健次氏は、導入の理由を次のように語る。

「一昨年にJFRグループにパルコが加わり ...

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