ネイティブアドの普及が進む米国の調査データからは、インターネット広告の潮流の変化を見ることができる。米国のネット広告における“バナー広告離れ”とネイティブアドの普及についてサムライトの柴田泰成氏に解説してもらった。
ネット広告を取り巻く環境の変化
はじめに、米オンラインメディア業界団体Online Publisher Associationが2014年4月に発表した調査によると、団体に加盟する4分の3のメディアが何らかの形でネイティブアドを導入しているという報告があります。ネイティブアドがここまで普及した要因の一つには、バナー広告の効果の減少が挙げられます。
米広告事業者Solve Mediaの調べによれば、バナー広告のクリック率は黎明期の9%から、現在は0.2%へ低下しています。そもそも、バナー広告自体が見られていないという調査結果は早い時期から示されており、米ニールセンによる視線追跡技術を用いた調査によると、バナー広告(黄緑の枠で囲まれた部分)はユーザーの視線から避けられているという結果が出ています(図1)。
IABが2014年7月に行ったユーザーへのアンケート調査「Getting Sponsored Content Right: The Consumer View」では、次のような結果が出ています。
「無料でコンテンツを受け取るためには、オンライン広告が表示されることは仕方がないと86%のユーザーが考えている」
「60%のユーザーは、商品を単純にセールスする広告より、ストーリーを伝える広告の方が受け入れやすいと答えた」
米国のネットユーザーは広告を「無料でコンテンツを受け取るためのもの」として捉えており、また同じ広告ならストーリーを伝えるものがよい、とも答えています。加えて…