ネイティブアドが普及の兆しを見せる中で、効果の測定方法が課題として浮上している。業界内ではどのような動きがあるのか、ビデオリサーチインタラクティブの荻野欣之代表に現状を聞いた。
ネイティブアドは本来の広告への原点回帰
ネイティブアドについて考える際、広告主、媒体側、双方にとって大きな課題として浮き上がっているのが広告効果の測定方法だ。インターネット広告の主流だったバナー広告やリスティングとは広告としての制作や掲出の仕方が異なるネイティブアドの効果を、クリック数やコンバージョン、インプレッションなど、従来と同じ方法だけで計測するのは難しい。
ネイティブアドの効果を計測するために新たな指標が求められている現在、業界内ではどのような動きがあるのだろうか。インターネット上の利用動向調査やマーケティングを手掛けるビデオリサーチインタラクティブの荻野欣之代表は、そもそもなぜネイティブアドが脚光を浴びるようになったのかを振り返ることが、その効果を考える上で重要だと話す。
「オーディエンスターゲティングによる広告出稿が多くなり、コンテンツ配信と広告配信の分離が一層進んできた結果、効率という点により注目が集まっています。この効率だけを重視した考えに対して、コンテンツや媒体の価値を再考し、相乗効果を図ろうというのがネイティブアドです。これは本来の広告のあり方への原点回帰とも言えるのではないでしょうか」。
オーディエンスターゲティング広告の場合、極論を言えば、コンテンツと関係なく自動でオーディエンスを追いかけるため、コンテンツの価値よりも、自社サイトへの来訪をベースとしたリターゲティングが重視される。また、オーディエンス拡張により、ターゲットに広告が掲出される頻度をひたすら高め、ワンクリックしてもらうことが目的になる。一方、ネイティブアドは媒体がそもそも持つ価値やコンテンツの価値を活用し、効率を求めるバナー広告とは異なる効果を出すことが期待されている。これは企業が企業としての世界観を表現したり、ブランドイメージを高めたりするものであり、テレビ広告で例えるなら番組提供効果などと同じ意図が込められているというのが荻野氏の見方だ。
カギを握る「エンゲージメント」
広告主がクリック率だけではない効果を求め始めた中で…