「ネイティブアド」という言葉が広まりつつあるものの、そもそもネイティブアドとは何か、記事広告と何が違うのか、という疑問も声も多い。テレビCMという王道の広告とLINEのスタンプという広告の違いを通じ、ネイティブアドを理解する。
ネイティブアドの何が新しいのか
LINEのスポンサー付きの無料スタンプ(LINEスポンサードスタンプ)が人気です。「広告」であるのにもかかわらず、ユーザーは友人との会話でこのスタンプを積極的に利用しています。このように、広告なのにコンテンツとして利用されていることから、LINEスタンプも一種のネイティブアドと言えると思います(IABの分類では「その他/Custom “Can’t Be Contained”」)。ここでは、テレビCMとLINEスポンサードスタンプを比較することで、既存の広告とネイティブアドは何が違うかを考えてみたいと思います。
そもそもLINEスタンプによる広告は、効果があるのか?と思う方もいるかもしれません。例えば、2013年秋にLINEスタンプとコラボレーションしたポッキーは売上が前年比120%となりました。スタンプは約220万ダウンロード、利用回数は約4500万回でした。直近ではLINEの普及に伴ってさらに数値は上昇しており、人気になった場合は1000万人以上にダウンロードされ、利用回数は8億回に達することもあります。そして、多くの企業から、CMよりローコストで認知・売上が向上したという声があがっています。
しかし、なぜ結果が良いのでしょうか?CMと違い、スタンプは露出量をコントロールできません。スタンプの紹介はできても、どこまで利用されるかはユーザー次第です。CMのように「見せる」のではなく、あくまで「使われる」ものなので、コントロールできないのです。この「コントロールできない」ということを言い換えれば、どれだけ露出しても制限がないということです。露出はユーザーが好んで利用するほど増えるので、「自然に使ってもらえる」ことを優先してデザインすることで露出量を増やせます。
つまり、コミュニケーションの中で「露出する質」によって露出量が左右されるので、そもそもCMの露出量を増やそうとするのとは方向性が異なります。そこでは、「自然に使われる質」を高めることが最も重要になります。そして、ネイティブアドを直訳すれば「自然な広告」ですが、もし「自然に見せる」だけなら、これまでのタイアップ広告と何が違うのだ?という疑問を招いてしまいます。大切なのは「自然に使ってもらう」ことで、効果が上がる広告ということ。その点が新しいのだと思います。
「使われる」ことを意識した広告へ
「見せる」ではなく「使ってもらう」という方法は、LINEスタンプだけの話ではありません。そもそもテレビは「視聴者」、雑誌は「読者」と呼びますが、ネットではあくまで…