日本民間放送連盟の井上弘会長(TBSテレビ会長)は9月18日、在京キー5局が共同で、インターネットでの番組の見逃し配信サービスの提供を検討すると明らかにした。来年度にも実験的な運用開始を目指すとした。
放送のメディア価値の向上を目指して
見逃し配信サービスはテレビCMを含めた番組全体の無料配信を想定。CMスキップはできない仕組みで、広告主を募ることにより「新たなビジネスの方法がありえるのではないか」としている。
具体的な対象番組や配信期間、著作権処理、セールスへの影響などの詳細を今後詰めていき、「来年度には実験レベルで実施できれば」との意向を示した。違法動画への対策も合わせて実施するとしており、「権利者とも話し合い、利益をリターンしていきたい」としている。
背景には、テレビ番組のインターネット違法動画の増加がある。井上会長は「看過できない問題になっている」と指摘。また、VOD機器によるタイムシフト視聴の広がりもテレビ・コンテンツの価値が経済的価値に反映されない問題として挙げた。
テレビ局自らが、無料見逃し配信サービスを行うことで、視聴者はわざわざ動画を探す必要がなくなり、違法動画の視聴が駆逐される可能性がある。見逃し配信サービスに積極的な欧米の放送局では、日本ほど違法動画に頭を悩ませていないとの指摘もある。また、ドラマなどでは見逃しサービスにより、テレビ視聴の拡大につながる可能性もある。
CM出稿、料金設定
実現へは課題も
ただ、クリアすべき課題も多い。在京キー局はそれぞれ、ドラマやバラエティの見逃し配信やVOD配信に取り組んできている。
日本テレビは動画配信に加え…
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