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米国広告マーケティング事情

ミレニアル世代へのマーケティング

松本泰輔

新たな手法やテクノロジーなど、米国企業が取り入れ始めている最新のマーケティング実例をレポートする。

過去数十年においてアメリカのマーケティング戦略は、最も人口が多い世代「ベビーブーマー(1946~64年生まれ)」にフォーカスして構築されていた。ところが今年6月時点の米国勢調査によると、1982~2000年生まれの「ミレニアル世代」が世代別人口でベビーブーマーを超えていることが判明、企業マーケターは「新世代」へ向けて大きな方向転換を強いられている。

マーケターを惑わす「新世代」の消費行動

比較的、経済環境に恵まれたベビーブーマーたちに比べ、より厳しい環境下で育ったミレニアル世代は「人生の節目で迎えるイベント――結婚・出産・不動産購入などについて後回しにする傾向が強く、消費パターンも他世代と違う。そのため予測が難しく、新しい消費者モデルをつくっている」とメシロウ・フィナンシャルのチーフ・エコノミスト ダイアン・スウォンク氏はニューヨーク・タイムズ紙に述べた。加えて、ミレニアル世代に詳しいコンサルティング会社 フューチャーキャストのジェフ・フロム氏も「ブランド・ロイヤルティの高いベビーブーマーと違い、ミレニアルたちは状況により高級品とディスカウント品を買い分け、マーケターたちを混乱させている」と指摘。さらに、メルセデス・ベンツ、GEなど大手クライアントを持つミレニアル専門コンサルティング会社 ジェネレーショナル・キネティックス代表のジェイソン・ドーシー氏は「5年前、マーケティング的に成功した方法はもはや通用しない。彼らが社会に出て消費し始めた今、どうアプローチするかが緊急課題」と提言する。

ジェネラル・ミルズ:バイラルビデオが大人気に

ユーチューブの人気チャンネル「Prank vs Prank」が制作した、ジェネラル・ミルズ社のビデオ「ゾンビ・ピザのドッキリ」。「フリー・ピザはいかがですか?」と通行人に声をかけ、箱を開けさせると、ゾンビの格好をした女性が現れて人々を驚かせる。広告されることを嫌うミレニアルに配慮し、広告宣伝文句は一切排除、ドッキリに引っ掛かった人にジェネラル・ミルズ社の冷凍ピザ「Totino’s」を進呈するだけ。動画公開から6カ月間で670万件を超える再生回数を獲得した。

大手食品メーカーのジェネラル・ミルズは昨秋、主力商品である冷凍ピザ「Totino’s ニューフレーバー」の発売に合わせてミレニアル向けのキャンペーンを開催した。デジタル世代のミレニアル向けに従来のトラディショナルなメディアを使わず、ユーチューブの人気チャンネル「Prank vs Prank」にバイラルビデオの制作を依頼。彼らは「Prank(冗談、イタズラ)」の名の通り、「ドッキリ」で人々を驚かすビデオで若者から絶大な人気を誇っている…

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