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次世代企業IMJが志向するオウンドメディア戦略

櫻井 徹(IMJグループ 代表取締役社長兼CEO)

企業が生活者とダイレクトにつながる時代にあって、オウンドメディアは重要な顧客接点のひとつ。ステークホルダーへの情報発信にとどまらず、顧客を獲得し育成するまでの役割が期待されている。IMJグループ代表の櫻井徹氏は、「デジタルを中心に据えたマーケティング戦略や組織体制が必要」と強調する。

櫻井 徹(さくらい・とおる)
IMJグループ 代表取締役社長兼CEO。1999年ドコモエンジニアリング入社。エム・フィールド設立などを経て、2006年IMJモバイル取締役。2012年からIMJ社長兼CEO(現職)。T-MEDIAホールディングス社長兼CEO、カルチュア・コンビニエンス・クラブ上席執行役員も兼務する。

企業のオウンドメディアはメディア機能を果たしているか

インターネットの普及が日本で始まって約20年。企業サイトの歴史を振り返ると、「テクノロジーやクリエイティブに凝った『格好いいサイト』を目指した時期を経て、企業が膨大な情報を蓄積する『オウンドメディア』の時代が到来した」。オウンドメディアと一口に言っても、「企業によって、またフェーズによっても内容が異なり、新しく出現したソーシャルメディアまで含めた形でオウンドメディアと考えられるなど、定義が広がっている」。

ユーザーの動向を分析していると、例えばデザインや色といったクリエイティブの細かな差異が行動に影響を与えていることが分かる。実際にクリックボタンの色や形をわずかに変えただけでクリック率が大きく上下するケースも見られ、「ユーザーの行動変化を分析した上で、常にデータを見ながら改善していくことが欠かせない」という。

オウンドメディアが「メディア」としての機能を果たしていくには、設計や戦略が重要だ。とはいえ、「企業はブランドサイトやキャンペーンサイトを保有し、PVを意識したキャンペーン戦略に注力したかと思えば、今度はコンバージョンが悪いとブランドサイトに注力し始める。明確なゴール設定や戦略がないまま運営しているケースが多い」。

オウンドメディアではコンテンツが重要だが、顧客を明確に定めることなしにコンテンツ戦略を練ることはできない。IMJには、クライアントの顧客データを預かって運用に至るまでをサポートする専門チームがある。「データ運用も含め、全てを任せてもらえればサポートできることの幅が広がる。そこまで至っていない場合でも、それぞれの顧客に合うサポート体制を組むこともできる。どのようなレベルの課題も受け止める体制は整えているので、解決のために一歩踏み出してほしい」。

デジタル中心のコミュニケーション運用が鍵

IMJはブランドサイトとキャンペーンサイトの間で戦略に悩む企業の相談も数多く受けてきた。「ブランドの認知度が上がり、商品への理解が深まっているのに、ずっとテレビCMを打ち続けている。その一方で、デジタルの予算は非常に少ない」―そういった企業が多く見られるという。さらに、「テレビCMを大量に出稿するような大企業ほど、デジタルを起点に発想することができていない」。

コミュニケーションの中心となるものは何なのかといった明確にすべきことがあいまいになっているのは、「戦略にストーリー性がないから」だ。例えば、テレビの情報がネットでは共有されていなかったり、ネット上で盛んに情報展開されていることがテレビに伝わっていなかったりといった、「マスメディアとネットが分断された、非常にもったいない状況」が起きている。

この状況を解決する鍵の一つは組織にある。「トップの認識が甘く、デジタルを軽視しているため、予算配分が充分でない企業はまだまだ多い。マーケティング全体の連携がとれる人材(責任者)を置き、そこに予算を集中させ、マスもネットも統合したマーケティング戦略を考えるべき時期にきている」。

「組織の縦割り文化」も解決を阻む要因の一つ。「組織の中に横断的な協力体制があれば、風通しがよくなり、マーケティングも全体の空気感を管理できるようになるはず」。

デジタル前提で考える時代到来明確な目標設定が成功に導く

O2O戦略やオムニチャネルと言われるようになったが、実際は在庫の一元化やITシステムの統合に留まっているケースは多い。

「現状を把握した上で、サイトの“リストラ”(再構築)を行い、リアルとどう連携してPDCAサイクルを回していくか、そのステップ論を明確にすれば成功は近い」。IMJでは顧客分析の独自指標を用いて戦略立案に役立てる。「勝つためには敵を知ることが大事」だからだ。

そういった意味では出口のあるECサイトなどは予算配分がしやすい。「マネタイズの方法まで含めた展開ができるのであればぜひやるべき。そうすればリアルとネット両方を持つ企業は、リアルが強くなるので、社内の理解が進み展開しやすくなるはずだ」。

一方、ブランドサイトの目的実現には、「顧客に対してブランド認知やブランド愛を高めるためのインセンティブをいかに提供していくかにかかっている。その実現には継続が重要だ」。つまり顧客の状況を理解しつつ、最適なコンテンツをどのように継続して提供できるかということで、「忍耐が必要。組織がしっかりしていないと難しいだろう」。

オウンドメディアがどのくらい自社ビジネスに影響を与えているのか。そこがあいまいになると、予算や人員が減少する負のスパイラルに陥る。

そうならないためには、「他社のまねをするのではなく、トップマネジメントの理解を得られるようなKPIが必要だ」。デジタルの知見があまり高くない企業は、スペシャリストの助言を聞きながら戦略を練るのも成功への早道かもしれない。「ネットの効果は圧倒的。あらゆる顧客接点からユーザーを誘引する先がネットになってきたことを前提に物事を考えていく時代に突入した。まず、そこを理解することが大前提である」。

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