パリの「メゾン・エ・オブジェ」をはじめ、ドイツや中国の展示会に積極的に参加してきた、鋳物メーカーの能作。現地のデザイナーらと製品開発に取り組むなど、積極的な取り組みで成果を出している。

「能作」の名を売り出すきっかけになったデザイン風鈴。
海外は金属加工品の有望市場
「金属製品は、日本よりも海外市場に強い。ひょっとしたら世界ブランドが狙えるんじゃないかという思いがありました」と能作 代表取締役社長の能作克治氏は話す。「日本人は金属に『冷たい』『切れる』『金属臭がある』といったイメージを持ちがち。食器でも、木や陶器の温かさを好みます。しかし、欧米で金属の食器は当たり前。だから次は海外だと思っていたんです」。
能作は、富山県 高岡市で伝統的工芸品の高岡銅器などを手掛ける鋳物メーカー。再来年100周年を迎える老舗企業だ。銅器製造の下請けとして歴史を重ねてきたが、2002年に自社開発した「デザイン風鈴」が大ヒット商品となり、今ではセレクトショップなど国内約200店で商品が扱われている。主力製品はグラスやビアカップ、皿、トレーなど食器類で、中でも錫100%の「曲がる食器」(錫の柔らかさを活かし、手で少し力を加えるだけで形状を変えられる食器)は特徴的な商品だ。
これまで国内では、展示会やビジネスショーに出展することで販売店開拓に成功してきた。海外でも同様の手法を試みることにし、2010年にフランスパリの見本市「メゾン・エ・オブジェ」に初出展した。初回では、様々なカルチャーショックに見舞われたと能作社長は言う。「ぐい飲みを、目の前でフランス人が…