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広告を「読む」。

広告を読めば、「人間の営み」が見えてくる。

山本高史

広告を読めば、なんかいろいろ見えてくる。例えば「人間の営み」のこと(前編)。

ニチバン(1987年) コピーライター 仲畑貴志



愛知県安城市 ニチバン工場

広告は本来的に多数(マス)を確保しなければならない。うなずいてくれる相手として10人の賢者とアホ1万人のどちらが欲しいかと問われれば、ぼくらは躊躇なく後者と答えるべきだ。広告の目的は、クライアントの利潤の最大化である。その論点において問われるのは、消費者の質ではなく量である。それは別に広告に限ったことではない。政治家はその投票者の中身まで気にはしない。欲しいのは票そのものだ。誰が衆愚と騒ごうが、一票一票が清き一票である。視聴率だってとればいいのだ(テレビはある意味広告媒体そのものなので同じ穴だが)。スポンサーのために視聴者の属性(年齢、性別、収入ナンボ)は気にするが、その中身まで問う必要はない。そんな合理的にしてクールなルールの下で、ぼくらは広告をつくっている。制作者個人の価値観や美意識がどれだけ高等なものであっても、そのルールに先立つことはない。

もう少し居心地の悪い話を続ける。この連載で「時代/社会/人間」というテーマに書き続けているのは ...

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「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」(丸大食品、1970年代)

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