ブランドにおけるロイヤルティとリスクは表裏一体だ。ロイヤルティへの依存は、ときにリスクになることもある。特にブランド危機に陥った際、どのような対応が考えられるのか。
変貌するブランドリスク
ブランド危機と言えば、かつて雪印乳業を中心とする雪印グループが、2000年の集団食中毒事件と2002年の牛肉偽装事件により、雪印食品は2002年4月30日で廃業、雪印乳業は2003年1月1日に市乳部門を分割して日本ミルクコミュニティを創設するなど、事実上の解体を余儀なくされた事件を思い出す。
乳製品業界の名門企業のブランドが崩壊した瞬間だった。当時を振り返ると、しばらくして経営者も変わり、徐々に人気を取り戻そうとしていた乳製品に関しても、購入者が「『まだ、雪印を買うの?』という他人の目が怖くて売場で手を伸ばせなかった」と語る風評リスクの影響度の大きさが忘れられない。市場で企業におけるソーシャルイシューの認識が問われた最初の大きな事件であったとも言える。
このような経営母体の不祥事に伴うブランド毀損や崩壊のリスクとは別に、ブランディングを行う上で複雑なリスクがすでに始まっている。ひとつは ...
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