インターネットの普及やテクノロジーの進化により、消費者の意思決定プロセスや消費行動が大きく変化している。それに伴い、企業のマーケティングに変化が求められ、個客への対応も現実的かつ有効な段階に入ってきた。
図1
ⓒDNP「メディアバリュー研究」http://www.dnp.co.jp/mediavalue
ネット利用者の中に、情報格差
インターネットの登場以降、消費者を取り巻く研究で大きく変わった点が2つある。一つは、消費者をセグメンテーションする軸として情報格差が有効な手段となってきたことであり、もう一つは、消費者の意思決定プロセスを、購買までの流れだけで捉えるのではなく、購買後のクチコミまでも含めて考える必要が出てきた点である。
セグメンテーションとして情報格差が有効になってきた背景には、急速にインターネット環境が進展したため、それをキャッチアップできる人とできない人が出てきたことが関係している。図1は大日本印刷が行っている「メディアバリュー研究」で、消費者のメディア利用と情報量の関係から作成したセグメントの分布を示したものだ。この図から、ネットもマスメディアもあまり利用しない「メディア低関与派」が20%も存在し、他のセグメントとの情報格差が大きいことがよく分かる。またネットを利用している人の中にも情報格差があり、リアルの情報をうまく使いこなしている人の中には、ネット利用しているセグメントよりも情報量が多い場合もある、といったことも読み取れる。「ネットの浸透率は90%を超えた」という報道に触れると、日本人のほとんどがネットを利用しており、ネット利用の少ない人は情報感度が鈍いと錯覚しがちだが、実際にはネット依存が低い人たちもかなりの数存在し、ネットを利用していなくても他のメディアで情報量は補えることが分かる。
意思決定プロセスの変化は、 ...