ビッグデータ時代において、データの活用は、企業と個人のコミュニケーションにどのような変化をもたらすのか。6月にワイデン+ケネディ トウキョウのプロジェクトで来日したワイデン+ケネディのグローバルインタラクティブストラテジー・ディレクターであるレニー・グリーソン氏に、米国の事例を交えたデータ活用の最前線について聞いた。

Renny Gleeson
ワイデン+ケネディのインタラクティブ・ストラテジーをグローバルに統括。W+Kネットワークインタラクティブな思考や能力を拡大すると共に、クライアントのための統合されたビジネスソリューションを導き出す。
データは新しいコミュニケーションツール
「ビッグデータ」活用の重要性が強調される昨今。企業と個人を取り巻くコミュニケーション環境が日々変化する中、「データ」がマーケティングコミュニケーションを進化させている。データにまつわる企業と個人の関係性について、レニー・グリーソン氏は、「企業にとっては、今ほど消費者データを得られる時代はありません。そこで新たな課題になるのが、データの活用法です。企業がデータを活用して個人のニーズや欲求をターゲティングする中、それをブランドの都合のいいようにのみ使用するのではなく、企業と個人双方にとって価値を生み出すような活用が求められています」と語る。
企業は個人から得たデータを活用し、自社の商品やサービスの価値を向上させることはもちろん、まったく新しい商品やサービスを生み出すことも可能になった。しかし、データはあくまで手段であり、ブランドが個人にとって役立つような方法でデータを活用しているケースは、まだ決して多くはないと同氏は言う。「まずは、どういうデータがあるのか確認し、そのデータを活用して何ができるか、それはユーザーにどういった体験を提供でき、どういった意味を与えられるのかを考えることが大事です。つまり、データから得た情報を元に発想しつつも、その中心に据えるのは個人ということです」。
マーケティングコミュニケーションにおいては ...