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ボランティアで音楽イベント参加「RockCorps」日本に上陸

イベント(越川延明)

音楽の力で人々を社会貢献に導く

4月9日に「RockCorps supported by JT」が始動した。RockCorps(ロックコープス)は2003年にロサンゼルスで設立されたソーシャル・プロダクション・カンパニーである。「Give, Get Given-与えて、はじめて与えられる」という基本理念の下、2005年より同名のプロジェクトを開催、「4時間以上のボランティア活動をすると、アーティストの音楽イベントに参加できる」というシンプルな仕組みで、これまでに世界9か国27都市で14万人以上が参加、合計56万時間以上のボランティア活動が地域社会に還元されてきた。(※1)日本は10か国目、アジアで初めての開催となる。

※1 これまでの開催国:アメリカ、イギリス、フランス、イスラエル、ベネズエラ、コロンビア、メキシコ、オーストラリア、南アフリカ

2014年のRockCorps supported by JTは東北復興をメインテーマに設定し、参加者4,000人、16,000時間分のボランティア活動を創出していく。ボランティア申込は既に始まっており、ボランティアプログラムの参加者は9月6日に福島県営あづま総合体育館で開催される「セレブレーション」と呼ばれるライブイベントに参加することができる。

ボランティアは「農業支援」「環境再生」「暮らしサポート」の3分野において東日本大震災の復興につながるプログラムが用意されている。

社会に直接還元できる

従来、イベント運営にはボランティアの力が必要不可欠であり、ボランティアを必要とする主催者と、自身の興味の対象となるイベントに何らかの形で携わりたいというボランティアスタッフの利害の一致により組織・運営されてきた。活動範囲はイベントに直接関係のあるものに限られていたが、イベントに対する参加意欲の高い方がボランティアを行うことで、結果として地域社会におけるボランティア意識の向上につながっていた。これがイベントのレガシーとして、地域に社会資本として還元されるものとして考えられている。

一方、RockCorpsの仕組みでは「イベントに参加したい、楽しみたい」という強い動機がボランティアの起点となっており、ボランティアの効果を社会に直接還元できる。この仕組みの中では、テーマに沿っている限りイベント自体には直接関係のないことでもプログラムに組み入れることが可能となる。世の中には人手が必要な活動は数多くあり、総量で考えればボランティアは常に人手不足である。イベントが成長し、参加希望者が増えた分だけ社会に直接還元されていく点も興味深い。

サステナビリティを支持

こうしたシンプルさがこのプロジェクトがより多くの参加者・関係者を巻き込んでいくポイントである。極論を言えば参加者はボランティアに理解を示す必要がなく、受け入れ側はボランティアの背景を説明する必要がない。必要なのは労働力という明確な効果である。これはプロジェクトが社会貢献の成果として時間を取り上げていることからもうかがい知ることができる。全てがこうした考えで構成されていては継続できないだろうが、この割り切りが許されそうな仕組みが参加者の心理的ハードルを下げているとも考えられる。

時代背景も後押しをしている。この時代背景を表すものとして、チャリティコンサートであるLive Earthを主催したLive Nationがサステナビリティに取り組む背景を紹介する。

「参加者は自身のライフスタイルを選ぶ一つの要素としてイベントとの係わりを考えているためサステナビリティ(※2)を支持している。同様に、多くのメジャーアーティストはサステナビリティに取り組む組織への出演を望んでいる」。(※3)

※2 社会進歩、経済活動、環境責任への永続的かつバランスのとれたアプローチ
※3 「BS8901 Sustainable Events Management Case Study, Live Nation」BSi RockCorps 公式サイト: http://rockcorps.yahoo.co.jp/2014/

日本では東日本大震災以降、社会貢献やソーシャルグッドなどのキーワードがよく使われるようになり、企業だけでなく個人が行動を起こすことが増えてきている。特に若者を中心にこうした活動が良い意味でトレンドになっている。RockCorpsが2014年の日本に上陸したことは必然ともいえる。

ロックフェスティバルという50年近い歴史の中で定型化されたイベントフォーマットに時代背景に沿った視点をシンプルに取り入れたのがRockCorpsである。同じような視点を持ち、まだ気づいていない組み合わせをすることで、参加者をはじめとする利害関係者とともに社会に新たな付加価値を提供していくことが可能となる。

文/日本イベント産業振興協会 主任研究員 越川延明

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