現読者対象の電子サービス
多くの新聞社が4月1日、現読者を対象としたデジタルサービスをスタートさせた。消費税率が8%に引き上げられ、多くの新聞社が増税分を購読料に転嫁。読者を含む人々の暮らしの負担が増える中、新聞社では現在の購読者を維持することが喫緊の課題になっており、その対策の一環だ。
報知新聞社は購読者限定のデジタルサービス「報知プレミアム」を始めた。料金は月150円(税別)。サービス形態は先行する「読売プレミアム」に合わせた。ニュースサイトに載せる記事の一部を、プレミアムの会員に限定して公開することで、購読へのインセンティブを高めたい考えだ。6月末までは無料で利用できる。
大分合同新聞社は購読者限定の会員サイト「GATE(ゲート)」を開設。従来のニュースサイトに掲載していない事件事故の記事や、紙面に収容しきれなかった写真なども載せる。
栃木県の下野新聞社は読みたい記事が載っている面や読むのにかかる時間の目安などを示すスマートフォン用アプリ「下野新聞+NAVI(プラスナビ)」の提供を始めた。画面に並ぶ記事の見出しに触れると、紙面イメージ上に載っている場所がマークされる。ダウンロードは無料で、会員登録も不要。「高校受験」「子育て」「お出かけ情報」などカテゴリーごとの記事の検索も可能だ。
紙面イメージの配信を始めた社も複数ある。秋田魁新報社は月324円(税込)で、購読者やその家族に紙面イメージを提供する。記事の検索や保存のほか、スマートフォンの小さな画面でも見られるよう、紙面イメージから記事を横書きで表示する機能も備えた。本紙を購読している若者がスマートフォンで新聞を読むことなどを通じ、同社のブランドを浸透させていきたい考えだ。9月末まで無料。
新潟日報社は購読者対象の無料インターネット会員サービス「新潟日報モア」加入者を対象に、紙面イメージの提供を始めた。朝刊地域面や子供向け紙面、同社発行の無料紙を配信する。
読売新聞社も読者限定の有料デジタルサービス「読売プレミアム」で、紙面イメージの提供を始めた。東京本社発行の朝刊最終版の全ページを見ることが可能だ。掲載期間は1週間。
朝日新聞社は朝夕刊セットの購読者に限定したサービス「特典電子版」をスタートさせた。東京、大阪、名古屋、西部の各本社発行の朝夕刊7日分(当日を含む)の紙面イメージを配信。当日に限り全国の地域面も閲覧できるようにする。料金は無料。
山形新聞社、愛媛新聞社は6月から本紙購読者向けに無料で紙面イメージを提供する。
中日スポが日本初のビンゴ新聞
中日新聞社は、3月28日のプロ野球開幕に合わせて同日付で発行した中日スポーツの別刷り特集で、約45万部の全てに1部ごとに異なる数字を組み合わせたビンゴカードを掲載した。デジタル印刷機器を搭載したオフセット輪転機による「ハイブリッド印刷」を活用した企画で、同社によると、日本の新聞社で初めての試みだという。
5月14~16日に名古屋市で開かれる全日本広告連盟大会に向け、新たな新聞広告の手法として可変情報使った広告の展開を考えており、今回はその実験と位置付けている。
ビンゴの数字は中日ドラゴンズの支配下68選手の背番号と符号。当たり番号は同日から3日間、中日スポーツ紙上で発表した。
毎日がカフェをオープン
毎日新聞社は4月8日、東京本社1階に「毎日新聞メディアカフェ」を開設した。毎日新聞やスポーツニッポンを置くほか、タブレット型端末を設置、両社の記事や写真が見られる電子サービス「TAP-i」の利用も可能。新聞を身近に感じてもらうことが開設の狙いだ。
記者報告会や協賛企業の主催イベントなども開く。毎週火・木曜の午前11時から午後6時までオープンする。
イベントの様子は紙面、WEBサイト、ソーシャル・ネットワーキング・サービスで配信していく。WEBサイトも開設、カフェでのイベントも公募する。
2012年6月には、下野新聞社が宇都宮市の中心部の商店街・オリオン通りに「下野新聞NEWS CAFE」を開いている。