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いま企業に求められるクリエイティブ・ライティング

トーマツが取り組むクリエイティブ・ライティングとは?

トーマツ

「コミュニケーションは相手に受け止めてもらい、初めて意味がある」――企業としてのメッセージを社外、社内に発信している新井香織さん。大量の情報の中から選ばれ、かつ相手に変化を与えられるコンテンツを発信するためにライティングのスキルを磨いている。

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プレスリリースで重要なのはキーワード。直に顧客と接点のあるフロント部門が気づいていないことや未整理な部分を対話することで見つけていく。

監査、コンサルティング、税務、ファイナンシャルアドバイザリーのサービスをさまざまな業種に提供しているトーマツ。広報の新井香織さんは社内外向けに発信する企業としてのメッセージ全般の企画と運営に携わる。情報をどのように加工して、魅力的なコンテンツにするか、日々言葉を使う力を磨いている。

社外広報では、新聞・雑誌などの記者からの取材窓口、記者への取材提案、プレスリリースの策定に従事する。「記者の意図や興味を持つ課題、どんな記事を書こうとしているかを掴むようにしています。その際、取材の趣旨(記者の意図)を文字で整理し、スピーカーに期待されることを文章にしていく。スピーカーの認識を記者と同じ土俵にあげるうえで、言葉の役割は大きいと感じています」。

プレスリリースの策定では、キーワードを探すよう心がける。新サービスであれば、フロント部門にヒアリングをしながら、社会性と新規性の両方にあてはまる言葉を盛り込みつつ、わかりやすくする。その分野の専門家ではない記者に理解してもらうことを前提に言葉を選んでいる。「相手に届かなければ情報はないも同じ、と思っています」。取材提案をする際は、記者の担当分野や関心を持っていることを把握し、興味をもってもらえるようなワードをちりばめた案内文を心がける。

社内向けには社内広報誌やイントラネットでの発信を行っている。トップの意思を社内へのメッセージによって的確に伝えることで、社員の気持ちに変化を与えることが重要である。また、トーマツの事業は多岐にわたるため、社員同士の横の交流を円滑にするためにも社内報は大切なツール。「自分につながる話だと思ってもらえる書き方の工夫が大切だと思っています。互いに理解しあうことで、トーマツらしい企業文化を醸成し、仲間から刺激を受けて自己革新につながるような流れを作っていきたい」。

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季刊の社内広報誌。読んでもらうよう「ヘッドライン」は気を配る。自分につながる話だと思ってもらえる書き方の工夫が必要。

言葉は、情報や思いを運ぶ乗り物

新井さんが言葉を選ぶ際に気を付けているのは、受け手の立場になること。同じ言葉でも、異なった意味やニュアンスで聞こえることがある。正解はひとつではなく常に発見がある。「伝えたい相手に、伝えたいことを届ける確度を上げることが、言葉のスキルを高めるということ。コミュニケーションは発信して終わりではありません。相手に受け止めてもらい、初めて意味がある。そのためには、情報を編集してストーリーを持たせることが大事だと思っています。また、広報は社内外の声を聞くという広聴機能を持っている。メディアや社会の動き、社内の声を拾いあげることで、自社の問題を発見することもあります」。

集めた情報を編集し、ストーリーをつくって発信する。受け手に思いを届け、相手の気持ちに変化を与える。気持ちの変化が行動となり、変革を起こし、それがさらに周りの人に影響を与える。言葉で好循環を作っていきたいと話す。「言葉は、情報や思いを運ぶ乗り物のようなものです。言葉を使って、相手にきちんと届けること、これはずっと取り組んでいくテーマです」。

今後の取り組みについて新井さんはこう語る。「社外に対しては、自社のブランドを高め、トーマツファンを増やしたい。社内に対しては、自社に関する認識を深め、自分の会社により誇りを持ってもらいたい。言葉は、届けるべき情報や思いがあって初めて出てくるものです。トーマツとして社外にも社内にも伝えるべきことがあり、それに努めるのが私の役割。私自身が会社のファンであり、誇りを持っています。自分が本当に良いと思っているものを社内外に広めようとしているので自己矛盾を起こさずにすみます。それはとてもありがたい」。

社員に対して伝えたいメッセージは、マスメディアを経由し、新聞記事やテレビのニュースを通じて間接的に社員の目に還流することで、直接的にインナーコミュニケーションをするより説得力を増し、浸透度も高くなることがある。この現象を「ブーメラン(ミラー)効果」という。新井さんが担当した「農林水産業ビジネス推進室」のプレスリリースでこの効果を得た。

「新聞に出て、社内から問い合わせが多くありました。同様の効果は、ベンチャー企業支援業務についても感じました。メディアに積極的に取材を働きかけて記事に多く取り上げられた結果、その活動が社内に浸透し、協働する動きや後押しする動きが社内に広がりました。ベンチャー支援業務に当たっている方達のコミットメント力や熱い思いに直で触れていた私としては、さらに応援したい気持ちになりました」。

大量の情報の中で選ばれるための情報の編集力を伸ばす。選ばれ、かつ相手に変化を与えられるコンテンツを発信していくのが広報の役割。受け手の立場になり何を伝え、どう伝えるか。こだわった文章をこれからも作っていきたいと話した。

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デロイト トーマツ サイバーセキュリティ先端研究所設立に関する記者会見では司会を務めた。約30人の記者が参加し、新聞やオンラインで多く取り上げられた。

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「こだわった文章をこれからも作っていきたい」と新井香織さん。

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