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企業コミュニケーションの理想像

これから起きること。これから起こさねばならないこと。

古川裕也(電通 コミュニケーション・デザイン・センター長/エグゼクティブ・クリエーティブディレクター)

カンヌのチェアマン、テリー・サベージから、最近よく言われる。「毎日アドバタイジングのアイデアだけ考えているなんて、もったいないじゃないか。もっと違う種類のアイデアも考えた方が世界のためになるのに。例えばビジネスデザインとかさ。その方がエキサイティングだろう」。

カンヌは2013年、「Innovation Lions」というカテゴリーを創設した。クライテリア(審査基準)は、「広告以外の手段で、世の中をより良くするアイデア」。決定的に今までのカテゴリーと違うのは、クライアント課題がなく、まずアイデアがあること。クリエイティブの方程式を根本から変えるカテゴリーだと思う。

この部門には、ツールやプロダクト、サービスなど、広告とは全く異なる仕事が並ぶ。アイデアの使い方、課題とのマッチングなどはオープンで、それゆえ、プロトタイプでもかまわないと規定されている。事前審査で残った20組ほどが審査員の前でプレゼンする。ここにインベスター(投資家)がいれば、サウス・バイ・サウスウエストのトレードショウみたいだ。

2014年、「Another Cannes」とも言うべき特別プログラム「Lions Health」が創設された。この本質はカンヌを完全にビジネス・クリエーションの場にしようというアンビシャスな試みだ。エージェンシー・クリエイティブ×特定業種クライアントでビジネス・アイデアを考え、カンヌにとって初めての登場人物、インベスターを呼び、新しくビジネスを立ち上げる場にすることを企図していると思われる。治療から予防へと、全体創り直しのような事態を迎えているHealth Industryを初年度に設定したのは、リアリティがある。

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