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価格の心理学

増税下の安易な価格勝負は「筋肉増強剤」。なぜ顧客は「買う」のか?

永井孝尚

著書『100円のコーラを1000円で売る方法』で、価格競争に異を唱えてきた永井孝尚さん。増税前の「駆け込み消費」を煽る戦略がエスカレートすることに警鐘を鳴らすとともに、今こそ企業は「価値」による勝負を継続すべきだと提言している。

セブン-イレブンの「セブンカフェ」「セブンプレミアム」がヒットしている、セブン&アイ・ホールディングス。価格ではなく顧客の価値に重きを置いた戦略で好調を維持している。

最安値だから買うわけではない

――近年「コストパフォーマンス」に対する消費者の考え方は、どのように変わってきたと見ていますか。

消費者である自分自身に対して、簡単な質問をしてみると答えのヒントが見つかるはずだ。あなたが「どうしても欲しい」と思って買った商品を、一つ思い出してみてほしい。人は理由もなくお金を出すことはない。お金を出して買ったからには、必ず理由があるはず。あなたは他にどのような商品を検討し、なぜ最終的にその商品を選んで、お金を出したのだろうか――。

私は講演の際によくこの質問をしており、これまで100人以上の方々に答えていただいた。そこでわかったことがある。「機能の多さ」で商品を選んだ人は皆無。「価格の安さ」が理由で商品を選んだ人は1~2割。多くの場合、「利便性が高い」「気に入った」といった、その人ならではの価値観に合っていることが理由で選んでいるのだ。

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