ブランド戦略の実践では、企業にとってのブランドという資源の特殊性の理解が前提となる。ブランドの特殊性を4つの観点から整理し、そのマネジメントの手法を解説する。
2002年、私が一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)の阿久津聡教授との共著により『ブランド戦略シナリオ ─コンテクスト・ブランディング─』を著してから、早10年余り。その間、さまざまなブランド戦略の実務に関わらせていただいた。
ここでは、そのような経験を踏まえた実務者の視点から、2014年現在におけるブランド戦略の状況、方向性などについてまとめてみたい。
90年代初頭に理論化され、日本でも広く普及・浸透
ブランド戦略が重要であるという認識は、いまや広く常識となっている。かつてはクライアントに対し、まず「ブランド戦略とは何か。それが今後いかに重要になるか」を説くところからのスタートであったが、現在は誰もがその概念を理解している状況で、隔世の感がある。ブランド戦略が、マーケティング戦略と同様、企業に欠かせないものとして、広く共有・活用されていることの証だろう。
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