テレビCMから企業名、想起できますか?国内の宣伝費上位企業39社を対象に、過去半年間に流れたテレビCMの想起率、およびそのCMから企業名想起できたサンプル数を1カ月ごとにリサーチ。これにより企業ブランドの想起率を算出。さらに、特に注目したい1社の半年間の平均値の推移を検証します。
紅白を追い風に、替え歌とギャップで全年代から支持
スズキ「スズキの初売り」篇
今回は、テレビCMから企業名を想起させた数が2013年12月の89件から約2.7倍、2014年1月に243件へ大きく伸ばしたスズキを取り上げます。
上昇の要因は、14年の初売りフェアを案内する「スズキの初売り祭り」篇。年明けに出稿量を集中させた結果、想起数が大きくアップしました。
各自動車メーカーは正月、カーディーラーショールームで開催する新春フェアの告知に力を入れます。スズキもここ数年"初売り"をテーマにしたお正月CMを展開してきました。今回のキモは、演歌歌手・北島三郎の吹き替えで人気子役・小林星蘭が歌う「まつり」。西田敏行やはるな愛が盛り上げる中、歌詞の「まつり」を「はつうり」にもじったり、小林星蘭の鼻の穴が大きくなったりと、正月らしい派手でユーモアのある小ネタが、各社のアピール合戦の中で注目を集めました。年末の「NHK第64回紅白歌合戦」で北島三郎が、紅白引退の発表と共に「まつり」を披露したことも追い風となりました。
視聴者の感想からも、その印象が強かったことがわかります。「紅白の余韻の中、『まつり』の替え歌で盛り上がったCM。最初は替え歌だと気づかなかった」(30代女性)、「最初は『えっ!?この子が歌っているの?』と思って驚きました」(20代男性)。
想起者の属性を見ると、男性52%・女性48%で男女ほぼ半々ずつの割合となっています。年代も20~60代まで、広く認知させることに成功しました。今回の「初売り」CMのように、今後も他社にはない強いインパクトを視聴者に残せるか。同社の広告に注目が集まりそうです。(コミュニケーションデータシステム 大椋美保)
※コミュニケーションデータシステム(CDS)が行う、1週間単位で記憶・印象に残っているCM調査(関東130万人のモニターから毎週1200人を抽出)から分析。