顧客第一主義への転換が大きなターニングポイント 進化し続けた50年
1974年、日本初のコラーゲンを配合した基礎化粧品として誕生し、2024年に50周年を迎えた「ドモホルンリンクル」。漢方の製薬会社であった再春館製薬所が、「人間も自然の一部」という漢方の考え方と、同社の科学技術を掛け合わせ、化粧品開発に挑戦したことからブランドの歴史が始まった。
ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略
「わかめラーメン」「スーパーカップ」「スープはるさめ」など、時代とともに多くのヒット商品を生み出してきたエースコック。同社の基幹商品である「ワンタンメン」は、その源流となっている。
(左)発売当初のパッケージにも「こぶた」の姿が。 (右)現在のパッケージ。
2013年に発売50周年を迎えたエースコックの「ワンタンメン」は、ツルツルとしたラーメンと、モチモチとしたワンタンという2種類の食感を同時に楽しむことができる即席麺だ。
その前身となるのが、1959年に発売された味付けラーメン「エースラーメン」。いまでこそ即席麺のスープは豚骨、味噌などバラエティーに富んでいるが、当時の即席麺は麺にスープの味を染み込ませる製法で、市場に出ているのはしょうゆ味のみ。エースラーメンもしょうゆ味で売り出し、首都圏では人気となったが、エースコックの地元である関西圏では苦戦を強いられていた。
しょうゆ味以外の味付けが可能となったのは1962年、技術の進歩により即席麺のスープを別添にする製法が開発されてから。そこでエースコックは関西圏の人々に支持される新商品の研究開発に取り組む。なお、ラーメンとワンタンという2種類の食感を組み合わせるというアイデアを考え出したのは、創業者で当時社長だった村岡慶二氏であった。
そうめん職人だった同社の研究員がラーメンの細い麺に合うワンタンを開発したが、問題はスープだった。ラーメンとワンタン、両方の美味しさを引き出す味はなかなか決まらない。オニオン、ガーリック、山椒、ゆず......ありとあらゆる旨味や香りを試した末、生み出されたのは鰹だしにほのかな松茸の香りを加えたタンメンスープ。1963年8月、この独自開発したスープを別添にした即席ワンタンメンが発売された。
発売後、従来にない味と食感を楽しめる点が評価され「ワンタンメン」は大ヒット商品となる。当時、即席麺の中心購買層だった若者ばかりか、主婦層からの支持も集めた。課題だった関西圏での人気も獲得し、1965年にはテレビCMを放映。その人気は全国区となる。