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BtoB企業のマーケティング戦略

BtoBの新規案件を創出するデジタル活用とは?

庭山一郎(シンフォニーマーケティング)

製造業を中心に300社を超える企業のマーケティングをサポートしているシンフォニーマーケティング代表の庭山一郎氏に、BtoB企業によるデジタル活用のマーケティング戦略を聞いた。

何に使うのか、誰が使うのか

日本のBtoB企業はデジタルを活用して売上を伸ばすことはできるのでしょうか? 答えは「Yes!」です。私たちはこの20年間に、デジタルを活用して営業の生産性を飛躍的に引き上げた企業を数多く見ています。新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客へのクロスセル、アップセルにもデジタルの活用は必要不可欠です。多くの日本企業はそのことに気付きはじめており、過去10年間のSFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)の導入企業数がそのことを証明しています。しかし、その一方で導入企業の多くは期待したほどには成果を上げられていないのが実情です。私はその原因を、道具選びが先行し運用を後回しにしたことだと考えています。

当たり前のことですが、道具は「目的」と「運用する人のスキルレベル」、つまり「何に使うのか」「誰が使うのか」を基準に選ぶものです。「どういうマーケティングをやるのか」が決まっていないのにその道具を選べるはずがないのです。例えば、たくさんの人を快適に運ぶのにダンプカーは向いていません。冬なら荷台に乗せた人間は凍えてしまうし、荷台に人を乗せるのも、大型の免許を持っていない人に運転させるのも道路交通法違反です。何事も「目的」と「運用する人のスキル」を要件にして、それに合った道具を選ぶから「正しく活用」できるのです。

MAの導入がブーム

1990年代のCRM導入ブームの時、法人営業(BtoB)は「足と汗と勘の世界」だからデジタルはいらないと言われ、導入企業でも活用までは至りませんでした。その結果、デジタルマーケティングを見事に活用した米国のDELLに法人向けPCの圧倒的なシェアを奪われました。NECや富士通といった大手PCメーカーの関連会社を訪問してもオフィスにDELLのPCがズラリと並んでいて驚かされたものです。2000年代のSFAブームの時も同じでした。日本のお家芸の製造業で使われる3次元CAD市場で国産は全くシェアを失ってしまいました。ハイエンドはドイツのシーメンスとフランスのダッソーに、ミドルクラスでも米国のオートデスクやソリッドワークスが多くのシェアを持っています。製品としての優秀さもありますが、彼らがSFAやWEBなどのデジタルを駆使していかに「正しく」マーケティング戦略を展開し、日本市場を獲得していったのかはあまり知られていません。

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