「大好きなスイスのことを、もっと多くの人に知ってほしい!」 ――その思いを原動力に、日本においてスイスの魅力を伝え続けている押尾雅代さん。本国から届く情報を直訳ではなく、日本の人たちにとって魅力的な文章にするために、ライティングのスキルを磨いている。
リリースやパンフレット、イベント配布資料(写真)の作成にあたっては、スイスから送られてくる情報を翻訳する作業も多い。「直訳すると印象的ではないし、意約しすぎても情報発信者の意図が伝わらない。バランスが難しいところです」(押尾さん)。
日本のメディアや一般の人々に向けて、観光・生活・文化・自然などスイスのさまざまな情報を発信するスイス政府観光局。3年前に局次長に就いた押尾雅代さんは、そこで広報・プロモーション業務全般を統括している。
高校卒業後、スキーのガイドとして働くためにスイスへ渡ったのがスイスとの出会い。帰国後もスイスに関係のある仕事をと考え、スイス政府観光局に至った。カウンター業務や問い合わせ対応から始まり、秘書業務、総務・経理・人事を経験した後、2004年にメディアリレーション担当に。現在では一般向けイベントの開催や各種フェアへの参加、WEBキャンペーンなど、オンライン/オフラインにまたがるプロモーションなどにも従事している。
「メディアの方は、常に多様な情報・アイデアを集めながら企画を考えています。膨大な情報の中で、まずスイスに気づいてもらいたい。興味を持ってもらいたい。ひいては、行ってみたいと思ってもらいたい。そのための効果的な伝え方を日々模索しています」(押尾さん)。
メディア向けの施策のひとつに、年2回開催しているイベントがある。そこでは、2013年は『息づく伝統』、2012年は『水』と、スイス政府観光局がワールドワイドで設定している年間テーマを発表し、そこでどんな企画の切り口が考えられるかを提案するほか、新しい鉄道やホテル、美術館のオープン情報など、スイス国内のニュース・トピックスをまとめて発表する。「プレゼンテーションでは、『誰に向けて、どんな情報を、どんな切り口で提供するか』と内容を精査した上で、印象に残り、自分ごと化してもらえるような表現を考えます」。