イラスト/蛭子能収
先日、別の仕事でカレッタ汐留のアド・ミュージアムを見学した。ご存知、電通が主宰する広告の博物館だが、ここの展示を見ると、広告の原点が“看板”であることがよくわかる。江戸時代あたりまでのコーナーには、商家の軒に下がっていたシンプルな看板の類が展示されている。
こういうわかりやすい看板というと、ヒサヤ大黒堂の「ぢ」の看板を思い出す。とりわけ印象的だったのは、上野のちょっと東、いまの大江戸線・新御徒町駅の交差点の所に存在した巨大看板。ここは3、4階建てくらいのヒサヤ大黒堂の建物の上に、建物と同じくらいの寸法の「ぢ」が載っかっていた気がする。「ぢ」はもちろん「痔」のことだが、真っ赤なネオンで記されているあたりがまたわかりやすい。ひと昔前までは、夜景の中にこの看板をよく見掛けたものだが、近頃はめっきり少なくなってしまった。
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