ツアーではビッグデータを取り巻くマーケティング企業とアドテク企業も視察。視察を通じ見えてきた、米国における広義の広告テクノロジーの進化と企業のビジネスモデルについて、トレンドを紹介する。
属性からカード決済情報まで
進むデータの企業間取引
日本では現在、ビッグデータをビジネスに活用するため、欧米に倣った法整備が進められようとしている。
一方「米国はオープンソサエティ。日本で開示されていないデータも流通している」(Ys and Partners代表 エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター 結城喜宣氏)。たとえばクレジットカードの使用記録や、ローンの支払い実績も(個人が特定できないよう加工され)市場に流通。企業は1969年創業の老舗AxciomやCoreLogicといったプロバイダーを通じデータを購入、マーケティングに活用している。
米国では前述のデータプロバイダーや、後述のデータ統合のソリューション企業が進化しており、ビッグデータを取り巻くエコシステムが醸成されている。
オン―オフデータを構築
規模で突出する先進企業
一方、広告界にも独自で膨大なデータを抱える企業がある。オフラインデータでは広告効果測定大手のNielsen、オンラインデータではWPPグループのXaxisが規模で突出しており、ツアーでは2社を視察した。
データ自体を広く市場に流通させてしまうと、その商品価値は低減する。両社は自社やグループの資産を使い、オンライン・オフライン問わず生活者行動のデータを継続的に取得。かつデータの匿名化・統合ソリューションを提供する、LiveRampなどのサードパーティを利用し、「メディア接触履歴」と「購買傾向」など、種類の異なるデータを結び付け、クローズドなデータベースとして蓄積している。