
政治キャンペーンで利用増
テレビCMのターゲティング配信
視聴者データを利用したターゲティング広告のアプローチは、選挙におけるキャンペーンでも利用が拡大している。ローカルから全国規模まで1200万世帯を網羅したデータを提供するRentrakは、2012年のオバマ氏の全国的な大統領選キャンペーンに採用され、投票の主力となる層の絞り込みを行った上でのCM配信を支援した。今年に入ると州知事・市長選挙数件のほか小規模な選挙キャンペーンしか行われていないにも関わらず、同様のサービス利用が増加し、政治関連の収益が昨年より2~3倍に伸びたという。
米国では政治キャンペーンの広告予算の大半がテレビに投下される。最近の流れを受け、市場に参入する企業が増加。共和党「Grand Old Party」 キャンペーンで、テレビCMのターゲティングを担当したDeep Roots Analyticsの担当者は、最も重要な視聴者に広告を提示できる確率が高まった上、10~20%のコスト節減が見られたと述べている。
■ソース:「アドエイジ」
11月19日
How Data Is Redefining Political TV Ads
CMOの半数近くが検討
プログラマティック広告の直接購入
広告主にとって、これまで広告枠のバイイングやプランニングはエージェンシーに任せる仕事領域だった。しかし、企業が消費者データの把握に熱心な現在、エージェンシーを経由せず直接メディアを購入する傾向が強まっている。
第1者データとプログラマティック・メディア購買を組み合わせることで、中間業者が入る必要もなくターゲットとなる層を的確に絞りこみながら、リーチを広げることができるようになってきたためだ
2013年の10月末にCMO ClubがCMOを対象に行い、130社が回答した調査では、回答者の半数近くの46.2%が、「プログラマティック・メディア購買に関してはエージェンシーを排除して、DSPを直接利用することを検討する予定」と答えている。
さらに、回答者の15.4%はすでに実行していると回答している。メディアとの関係管理をエージェンシーに任せており、変更の予定はないとしたのは30.8%のみだった。
■ソース:「アドエイジ」
11月20日
Poll: Majority of CMOs Look to Buy Programmatic Ads Directly, Bypassing Agencies
コンサル業に移行し事業機会を拓くエージェンシー
エージェンシーが製品ポートフォリオ管理に関するアドバイスをするなど、コンサルテーション部門を開拓する動きが顕著になっている。ピュブリシスグループ傘下のStarcom MediaVestGroupは先日、マーケティングコンサルティングブランド、Zero Dotを開設し、さらに姉妹社のZenithからはメディア専門コンサルタントサービス、Apexがリリースされた。エージェンシーも、より洗練されたデータや分析を得られるようになったことが、この傾向を後押ししている。
3年前に開設されたコンサルティンググループ、Ogilvy Redのグローバルの会長は「事業は好調で、世界各地でのサービスを通じて収益が40%上昇した」と述べた。また広告の発注につながることも多く、総収益が最終的に3、4倍に膨らむこともあるという。さらにコンサルティングを別部門とし、固定料金を定めることで、広告業務よりも高い利益率を確保できる点もメリットだとしている。
■ソース:「アドエイジ」11月20日
Agencies Shift Into Consulting Role - and Gain New Business
リアルタイム入札で値崩れを恐れる米国テレビ局
デジタル広告業界では一般的なプログラマティック購買だが、リアルタイム入札の効率性の魅力は、テレビ業界でも無視できないものとなっている。インターパブリックグループは2013年8月、A&E NetworksやCablevision、Clear Channel、Tribuneとの共同事業として、テレビとラジオ広告向けの自動広告枠購入システムを開発すると発表した。一方で、広告枠の値崩れが生じるのではないかというテレビネットワーク側の懸念は依然として根強い。
第一の課題は、広告枠在庫の価値を管理できなくなることを恐れるテレビネットワークに、プレミアムコンテンツ提供を促すことだ。現在の限られた在庫はメディアバイヤーから売れ残りと呼ばれ、主にダイレクトレスポンス系企業に販売されている。また技術的にも問題がある。スマートテレビや、インタラクティブでウェブ接続可能なデジタルケーブルボックスが普及し、動的広告挿入が容易になるまでプログラマティック購買を主流にするのは困難だろう。
■ソース:「アドエイジ」
11月18日
TV Fears 'Race to the Bottom' With Real-Time Bidding
Snapchatを警戒しつつティーンへのリーチ力に注目
写真や動画を含むメッセージを送信でき、受信者が確認した後、10秒以内に消滅するサービス、Snapchatはフェイスブックから30億ドルの買収オファーを提示され、そのニーズの高さを証明した。SnapchatのCEOはアプリ販売とネイティブ広告を収益源として挙げるが、広告業界と密接な関係を築くには解決すべき問題がいくつかある。
第1に性的な内容を含んだメッセージングや、中傷などの悪用によるイメージ低下を防ぐこと。第2にリーチを示す指標が確立されていないこと。毎日の「スナップ」送信数は6月の2億回から9月には3億5000万回と増加していると同社は発表したが、ユニークユーザー数などについては明かしていない。第3にユーザーデータの収集や追跡が困難であること。現在はTacoBellをはじめとするいくつかのブランドがアカウントを取得し、発信を始めている。現時点では、若年層を対象に、短期集中のプロモーションをしたいブランドなどには魅力があると見られている。
■ソース:「アドウィーク」11月15日
Advertisers Wary of Snapchat, But See Opportunity to Reach Teens
グーグルが1億ドルの先行購買契約
ディスプレイでも躍進
グーグルのプラットフォーム全体の来年度の広告在庫獲得に向け、グーグルはピュブリシスグループ傘下のDigitasLBiおよびRazorfishと 1億ドルの先行投資契約を結んだと関係者が明かした。契約内容は、グーグルのバナーとモバイル広告ネットワーク、YouTubeやGoogle PlusやHangouts上のブランドページなどのウェブサイトを通じた広告在庫へのアクセスの確立だ。また各社は、新たなクリエイティブコンテンツやウェブビデオなどによる、YouTubeを 媒体としたキャンペーン運営でも連携する予定だ。
グーグルは検索広告だけでなく、近年ではディスプレイ広告でもヤフーを抑えてトップに立った。eMarketerは、2013年はグーグルが米国内のディスプレイ広告市場の約17%を占めると予想している。DigitasLBiとRazorfishの会長を務めるRishad Tobaccowala氏は、グーグルは検索広告以外の広告在庫を伸ばしYouTubeのような媒体を育てたいと考えていると述べた。
■ソース:「アドエイジ」11月14日
Google Inks $100 Million Upfront Deal With Publicis Agencies DigitasLBi and Razorfish
ニュースのポイント
コンサルティング企業がエージェンシー業務に参入したり、DSPなどテクノロジー企業が直接広告主と取り引きをしたり、それに代わってエージェンシーがコンサルティングサービスを提供したり、広告主が自社内エージェンシーに力を入れたり、テクノロジーの進化により、業務領域がますます曖昧になっているのが現状。自社の強みをどこに置くかが問われている。
織田浩一氏 Kouichi Orita(おりた・こういち)デジタルメディアストラテジーズ社代表、アドイノベーター編集長。米シアトルを拠点とし、欧米の新広告手法・メディアテクノロジー・IT調査・コンサルティングサービスを日本大手広告会社、WEB制作会社、総研などに提供。広告・メディア業界におけるR&D業務のサポートを行っている。オンライン、オフライン広告の近未来に関するブログ、メルマガを下記のアドレスにて公開している。 http://www.adinnovator.com |
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