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変革する広告業

広告主の期待が高まる、シングルソースデータへの対応

ビデオリサーチ 秋山創一社長

──広告界を取り巻く環境をどう見ているか。

機械によるテレビ視聴率の測定から始まり、50年。ビデオリサーチは広告メディア取引の科学化への貢献を目的に設立され事業を続けてきた。調査対象となるメディアはテレビから拡大してきたが創業以来、お客様の中心はメディア企業と広告会社だ。

しかし広告メディア市場が右肩上がりに成長を続けた70年~90年代と現在では状況が異なる。広告メディアの需給バランスが変わる中、当社に期待される役割も変わってきている。具体的には広告主から広告投資のアカウンタビリティが強く問われる中で、その期待にいかに応えていくかが取り組むべき課題と考えている。

例えばテレビも、マルチスクリーンと言われるように、その視聴スタイルは大きく変わってきている。また最近では、録画機器の進化で「タイムシフト視聴」が顕著になる中、そこでの視聴も数値に組み込むべきか否かといった議論も出ている。変化に対応しながら、これからのテレビメディアの調査スタイルを考えていきたい。

またテレビに関して言えば、ソーシャルメディアとテレビの親和性の高さへの注目も集まっている。量だけでなく、視聴の質をいかに測り、提示するかは長年にわたる課題だが、その解決策の一つとして両者の連携に期待を寄せている。具体的には12月に米・Twitter社と協業し、テレビ番組の反応を測る「Twitter TV 指標」を提供することで合意をした。2014年6月よりデータ提供を開始する予定だ。

──消費者のメディア接触や行動が断片化する中で、広告主企業、広告会社からそれらを統合して読み解けるようなデータへの関心が高まっている。

我々は視聴率をはじめとしたメディアの調査だけでなく、40年前からひとりの生活者に対して媒体接触状況と、消費・購買状況を同時に調査した「ACR(オーディエンス&コンシューマーレポート)」も提供してきた。

さらに近年、広告会社、そして広告主からシングルソースデータに対する期待を感じており、今年「ACR/ex(エーシーアールエクス)」として新たなスタートを切る。生活者属性、商品関与、メディア接触の3視点を同一サンプル(全国7地区1万700人)に調査するもの。

代表性を堅固なものとするため、ネット非利用者も含んだ市場全体を母集団とする設計で、無作為に抽出した方々に協力のお願いをして、パネルをつくっている。

当社は創立50周年を機に、「提供から提言まで。」のスローガンを掲げたが、調査会社なのでまずはファクトを抑えるのが前提であるものの、そこから先のアクションについても提言できるような会社へと進化し、これからも企業のコミュニケーション活動の発展に貢献していきたいと考えている。

編集部の視点

メディアが多様化し、その接触が断片化する中で、シングルソースデータに対する関心は高まっている。大手のビデオリサーチ他、リサーチ業界の各社が注力する領域となりそうだ。

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秋山創一(あきやま・そういち)氏

1974年東京大学文学部卒業後、電通入社。2002年スポーツマーケティング局長、07年執行役員メディアコンテンツ本部副本部長。2012年6月ビデオリサーチ代表取締役社長に就任。

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