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アジア市場の消費者インサイト

日本メーカーのインド展開で気づくべき盲点

インド・ビジネス・センター 代表取締役社長 島田卓

郷に入れば郷に従え。アジア市場では自分たちの価値基準を捨て、その地域の指標で自らの商品・コミュニケーションを見つめる必要がある。アジアマーケット攻略のヒントを毎月1国、その国に精通した専門家が解説。全3回のレポートで紹介する。

ピーター・ドラッカーは「企業の目的は顧客創造」と言った。しかし、私のところに相談に来られる方からは「インドにマーケットはありますか?」という質問をよく受ける。そういう方には「インド進出は考え直されたほうがよいですよ」と答えたくなる。日本とインドの社会成熟度を同じと見なし、その延長線上でマーケット戦略を考えてもうまくはいかない。インドにおけるマーケット創造は眠っている子を起こすようなもので、うまく起こさないと子供はぐずる。起きている子をあやすのとは違うのだ。

ある日本の家電メーカーがインド市場に最新鋭のテレビを投入したが、なぜか売れなかった。画面は美しいし、サウンドもばっちり、価格帯もそこそこで成功間違いなしだったわけだが。落とし穴は音域にあった。インドに行かれた方なら気付かれただろうが、そこは喧騒の中で暮らす毎日である。オーディオルームの中で視聴し、OKを出した音域では"寝ている子"が起きなかったのだ。大声で話し、家の内外で発生する騒音も物とはしない音域は、日本のそれとはずいぶん違う。

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