学会員による白熱した議論が続いた「マーケティングカンファレンス2013」。
「マーケティングカンファレンス2013」開催
当会は11月10日、早稲田大学早稲田キャンパス8号館で、2013年度の研究大会「マーケティングカンファレンス2013」を開催した。第2回となる今年は、リサーチプロジェクト・セッション、ポスターセッション、オーラルセッションなど新しく研究発表の機会を多数スタートさせた。企業展示や懇親会なども設け、学会の理念である学会員が「出会い創発する場」とするための研究大会の運営を目指して企画を進めた。会場にはマーケティングに携わる学者や研究者、実務家、ビジネススクール卒業生、マーケティングを学ぶ現役の学生などを中心に443人の学会員が集まった。各研究発表のセッションは、多くの会場で立ち見が出るなど、学会員による白熱した議論が終日続いた。
本年度のカンファレンスの総合テーマは『マーケティング戦略のグローバル・トレンド』であった。メインとなる基調講演とパネルディスカッションのゲスト講師には、無印良品の松井忠三会長とボストン コンサルティンググループの市井茂樹シニア・パートナー&マネージング・ディレクターを招き、現在世界で幅広く実践され、議論されているマーケティング戦略とはどのようなもので、日本企業が成長するためにどのような示唆が得られるのか、パネリストや会場を訪れた学会員とともに議論した。
午後に行われた基調講演のセッションは、まず日本マーケティング学会の石井淳蔵会長(流通科学大学学長)が開会挨拶を行った。石井会長は、学会が昨年11月に設立記念カンファレンスを開催してから1年間に、マーケティングサロンやリサーチプロジェクトの実施、ホームページを通した会員サービスの提供、ファイスブックを積極的に使った広報活動、そしてジャーナルのオンライン出版など、従来とは違う学会のあり方を模索しながら活動を続けてきた状況を説明し、同時に学会の活動に対して学会員の一層の協力を依頼した。
続いて、内田和成カンファレンス副委員長(早稲田大学商学学術院教授)による総合テーマの「マーケティング戦略のグローバル・トレンド」について解説が行われた。内田副委員長は、最近の日本企業の海外進出事例を紹介し、その事業展開方法を振り返りながら、日本企業が成長するためにどのようなマーケティングの役割があるのか問いかけた。
続く良品計画の松井忠三会長は、「無印良品のマーケティング戦略」と題する講演をおこなった。松井会長は同社が日本でV字回復を実現させた鍵となった「仕組み」とその重要性について紹介し、現在この「仕組み」をもとにグローバル展開を進めるためのマーケティング戦略について紹介した。
さらに、ボストン コンサルティング グループの市井茂樹シニア・パートナー&マネージング・ディレクターが「日本企業グローバル化のチャレンジ―先進国の常識を超えた戦略を―」のタイトルで講演をおこなった。世界の成長センターとなる新興国市場における経営戦略が日本企業の成長の鍵を握っていることを前提に、想像以上に難攻不落な新興国市場で日本企業がどうすれば成功できるか提言した。
その後の恩藏直人カンファレンス委員長(早稲田大学商学学術院教授)の進行によるパネルディスカッションでは、パネリストとして松井忠三・市井茂樹・内田和成の3氏が登壇し、グローバル時代の日本企業のマーケティング経営や人材育成の課題とマーケティングの可能性を議論しながら、それぞれの立場から処方箋を論じた。また会場からの質疑を交えて議論を深めた。
第3回マーケティングカンファレンスは2014年秋に東京都内の大学をメイン会場に開催される予定である。
文/日本マーケティング学会事務局