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変革する広告業

オリコム、メディアバイイング以外の事業開拓へ

オリコム 代表取締役社長 正盛和彦

2012年に創業90周年を迎えたオリコム。OOHでの強みを基盤に、移動者マーケティング全般へとソリューション拡大を目指す。

サイト「ORICOM MICE DIVISION」より

─広告業界を取り巻く現状をどのように見ているか。

ネットが登場して以降、従来の広告メディアはそれぞれの役割をより明確に提示できなければ、生き残れない時代になっている。我々は総合広告会社ではあるが、現在の礎は昭和3年に当時の国鉄の有料広告第一号を扱い、事業化したことにあり、今も交通広告を中心にOOHメディアに強みがあることに変わりはない。OOHメディアについても、その役割、価値を改めて明確に提示していく必要があると考えている。

当社はその歴史において、交通広告を扱う権利があることによる優位性で事業を拡大してきた。そこには交通広告をメディアとして育ててきた先人たちの苦労もあるのだが、一方でそれは受注型のビジネスであったとも言える。交通広告の周辺環境が時代と共に変容し、媒体のオープン化も進む中で、企画・提案力で「OOHメディアに強い」優位性を築いていく必要があると考えている。

我々のような中堅クラスの広告会社が勝ち残っていくためには、お客様に「この仕事は、オリコムでないとできない」と指名してもらえるような差別化要素が必要だ。そこには会社全体の強みや特徴も関係するが、何より大事なのは、お客様と接する社員が、信頼される存在になること。歴史や規模の大小ではなく、その社員が信頼され、社員の信頼を通して、お客様から必要と思われる会社になることが大切だと考えている。

─今後の注力領域は。

本年度は2011年度から始まった、中期経営計画の最終年度にあたる。その中でも、大きなテーマが新規事業の開発だ。成熟した日本の広告市場が今後、右肩上がりに急激な成長をみせるとは考えづらいことから、広告会社としての知見を活かせる事業開発を目指してきた。具体的には今年の8月29日に旅行業の資格登録を行い、9月にはMICE(Meeting、Incentive、Convention、Exhibition(Event)の総称)事業における業務領域を拡大し、「ワンストップソリューションサービスを提供できるフル装備」の体制が整った。2007年に「第9回世界華商大会」の仕事を手掛けたことがきっかけだが、旅行会社、コンベンション専門会社とは違う広告会社ならではの価値を提供できる領域だと感じた。単にイベントを実施・運営するだけでなく、その目的は何で、その目的を達成するためには何をしたらいいか、というコンセプト作りから、企画を提案できるのが強みだと考えているし、そこを強く打ち出していきたい。

4年後にはMICE事業で、10億円程度の売上規模まで成長させる計画だ。我々はOOHメディアの強みを活かし、「移動する生活者をとらえるコミュニケーションデザイン」に強みを持った、特徴のある会社を目指していく。MICE事業もこうした一つで、当社の強みを活かせる領域と考えている。

編集部の視点

オリンピック開催が決まり、訪日観光客の増加も期待される中、MICEは今後、他の業界からも注目される市場となりそうだ。

オリコム 代表取締役社長 正盛和彦(まさもり・かずひこ)氏

1975年明治大学卒業後、オリコミ(現・オリコム)入社。取締役営業本部長などを経て、2009年4月代表取締役社長。現在に至る。

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