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2014マーケティング・キーワード

持続可能な地域をつくる、愛知県豊田市の「Toyota Bamboo Project」とは?

トム・ヴィンセント

どの地域にも、基本的に3種類の「環境」があるとしましょう。(1)自然環境:山や森、いわば地球そのもの、(2)人間社会の環境:町や道路など私たちが住む場所、(3)経済環境:私たちの生活を可能にするお金、仕事、物流などのことで、これら3つを切り離すことはできません。ある地域を元気にするには、同時に3つの環境を健康にしなければならない。これらすべてが健康である地域が、この先も長く残っていく地域なのでしょう。

地域を元気にするには話題を作ればいい、という考え方があり、そこにはメディアや宣伝という便利なツールがあります。しかし、どんなにうまくメディアや宣伝の力を利用しても、最終的にはその地域に住む多くの人が豊かに、幸せに暮らしていなければ、意味はありません。つまり、発信する力と解決させる力は別物だということ。発信ができているから、必ずしも成功しているということではないのです。

さて、いま私が注目している地域は愛知県豊田市です。「え?豊田って、あのトヨタ?」と連想する人が多いかもしれません。トヨタはコカ・コーラなどと並び立つ世界的なメガブランドとして知られていますが、豊田市の面積が東京23区の約1.5倍(約920k㎡)あり、その約8割は自動車産業とはほど遠い、山と農地から成っていることはあまり知られていません。その豊田市で私たちが目を付けたのは「竹」。2013年夏に「Toyota Bamboo Project」を立ち上げ、豊田山間部にある竹林の保全を目的に、竹を有効利用することを目指しています。100年後には自然と技術(=人間の知恵)が共に働き、地球にとっても、人にとっても、日本の田舎は最高に豊かで、真に持続可能な環境になっている――そうなると信じて、長年放置された豊田市の竹林を豊かな森に戻し、前述の3つの「環境」の面から「やっかいもの」になってしまった竹が再び「役立つもの」になるように、根本的な対策や楽しい企画に取りかかっています。

本当に注目すべき地域は、真の意味で持続可能な地域のことだと思います。それを実現するには、地道に目の前の課題に取り組みつつ、「今やっていることは、50年後、100年後、この地域に住む人が幸せに暮らすことにつながるのか?」――3つの「環境」を意識しながら、活動していく必要があると思います。

Tonoloop Networks, Inc. トム・ヴィンセント

企業、団体、プロジェクト、個人の「おもしろい」を世界に届くためのお手伝いするトノループ・ネットワークス代表。バイリンガルウェブ情報誌「PingMag」編集長。

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