日本でも普及しつつある各種アドテクノロジーですが、次に必要とされるのが、それを使いこなすための視座。マルチデバイス時代、ユーザー行動が断片化していく中で、いかに継続的な関係を構築できるか。企業側のマーケティングのリテラシーが求められています。

左から、朝日広告社 菅 恭一、サイバー・コミュニケーションズ 広屋修一、MILLENNIAL MEDIA 樋口隆文
樋口▶ 2014年に向けて注目しているテクノロジー・手法としては、スマホ向けの動画広告・リッチ広告があります。すでに米国では、この市場は成長期にありますが、日本でもようやく活性化し始めるのではと考えています。
広屋▶ 確かに。海外と日本の状況を比較し、明らかに市場の大きさに差があるのが動画広告ですよね。私も今後、日本でも流行ると思いますし、特にスマホ広告の市場活性化のために、流行ってほしい!という思いもあります。
菅▶ リッチアドの市場ができないと、スマホ広告のマネタイズは難しいと思います。PC向けの広告は1996年頃に始まり、最初は手売り、その後アドネットワークが登場し、プログラマティックになっていきますが、このプロセスを経ているので、プレミアムとプログラマティック双方が両立するマーケットになっています。一方でスマホの場合は、アドテクノロジーが浸透してから登場したので、最初からプログラマティックな広告が来てしまった。トラフィックがPCからスマホへと移行していく中で、メディア企業は今、利益率の課題に直面しています。
広屋▶ 現在、ネット系メディアはトラフィック全体の約2~2.5割がスマホにシフトしている状況ですが、ここがマネタイズできていないのが共通の課題ですね。当社の「ADJUST forSmartphone」では、ブランド広告主に納得いただけるよう、プレミアム・スマホ媒体上でのリッチメディア広告の開発に積極的に取り組んでいます。
樋口▶ 北米の傾向として、ブランド広告主がリッチ広告を出稿した後、効果測定に力を入れている印象がありますね。ブランド広告なので、その後の検索行動や、リアル店舗への来店率などの計測を行う企業が増えていて、日本でもリッチ広告の普及とともに盛り上がってくる市場だと考えています。リッチ広告の場合は、直接的な効果だけでなく、間接的な効果も含めた測定が求められるので、また新しい手法が開発されていくと期待しています。