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スマートフォンで変わる消費行動

マーケターも知っておきたい!ドコモiPhone参入で見えてきた、スマホユーザー最新動向

福多利夫(デジタルガジェット系フリーライター、家電総合アドバイザー)

「ガラパゴスケータイ」の普及も手伝い、日本のスマホシフトは諸外国に比べ遅れている。NTTドコモがiPhone販売に乗り出し、この先のユーザー数や利用者の意識は変化するのか。家電総合アドバイザーの福多利夫氏はモバイルユーザーの三層化が起きると指摘する。

iPhone

去る9月20日、ついにドコモからiPhoneが発売された。ドコモ、au、ソフトバンクの携帯電話会社(キャリア)主力3社のなかで、唯一iPhoneを販売していなかったドコモは、自分の電話番号を保持したまま携帯電話会社を乗り換えられるMNP(モバイルナンバーポータビリティ)制度による顧客の流失が止まらず、シェアの低下が続いていた。ドコモがiPhone販売に踏み切った背景には、このユーザー流出を止めたいという切なる思いがあっただろう。

ユーザー流出が続いていたとはいえ、ドコモは国内携帯電話総契約数の約45%を保有する最大手である。そのドコモが、不動の人気機種iPhoneを発売するのだから、既存のドコモユーザーの多くがiPhoneを購入することで「スマホシフト」が一気に加速するだろうと予測する人がいる。もちろん、人気商材が追加されたのだから、スマホシフトは加速するだろうし、大英断でiPhoneを投入したドコモとしても、スマホユーザーが増えてくれなければ困る。ドコモも積極的な営業でスマホユーザーを増やすだろう。

これで本格的なスマホ時代が到来し、スマホの各社サービスを利用したマーケット戦略も活発になると期待している人も多いはずだ。

しかし、家電総合アドバイザーである筆者が、ユーザー側の視点で見てきた携帯電話事情やスマホ事情を考慮すると、増えるスマホユーザーの内訳や、スマホシフトによって起きる現象は、一般的なイメージとは若干異なるものになると思えるのだ。

日本の普及率は最下位レベル

実は、日本のスマホ普及状況は、かなり特殊である。ドコモのiPhone参入寸前のスマホ普及率は、大手シンクタンクやコンサルティング会社の調査によると、携帯電話ユーザー数ベースで40%弱という数値で一致している。これは、世界最高レベルに普及しているUAEや韓国やシンガポールの70%超に比べるまでもなく、12~13位あたりに位置するアメリカの約56%より低い。日本の順位は下から数えたほうが早く、事実上最下位グループに属している。総務省調査の世帯保有率でさえ、50%程度である(図1)。

この数値をポジティブに捉えるならば「まだまだ伸びしろがある」となるわけだが、筆者の感覚では、願望も含めて2015年までにユーザー数ベースで50%に届けば御の字と思っている。

なぜ日本は、スマホが普及していないのだろうか。携帯電話自体は広く普及しているのだから、スマホが普及しない原因は、スマホに買い替える人が少ないからだ。では、なぜスマホにする人が少ないのか、スマホにしない人のパターンをいくつか挙げてみる。

根強い「ガラケーで満足」派

まず挙げられるのが、日本独自に進化を遂げた従来型携帯電話、いわゆる「ガラケー」で十分だと考えている層がいることだろう。

日本のガラケーは、インターネットに接続できる。PCとメールをやりとりすることやウェブページをみることもできる。独自に発展したケータイサイトも多く、内容も充実している。ネット通販さえもガラケーで利用できる。日本では、このサービスが10年以上提供されているのだ。スマホの登場で初めて携帯電話がネットにつながった諸外国とは、歴史的経緯が違う。

ガラケーを使いこなしている中年以上の年齢層では、使い慣れたガラケーを捨てて、新たに使い方をマスターしてまでスマホが必要だと思っていない人が多い。この層が、スマホ普及率が伸び悩む最大の原因であろう。

屋外からネット利用しない層もいる。自宅の固定インターネット回線で、主にPCを使ってネット利用している層だ。年齢的にはやはり中年層以上が多いのだろう。ガラケーを持っているが、ネット利用はメールのみ。生活のメリハリというか、ケジメの一環としてネットは自宅で決まった時間に使うと決めているような人は、どう考えてもスマホとの相性は悪い。

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