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自治体PRの今

「あまちゃん」効果で観光需要も増加、県産食材のブランド化へ

岩手県

日本ジオパーク認定で活気

「いわて復興応援バスツアー」の様子。写真は陸前高田のツアーで、震災体験の語り部が当時の様子を語り継ぐ。

    岩手県

  • 人口:129万4811人(2013年9月1日時点)
  • 面積:1万5278.89㎢
  • イベント:北上展勝地さくらまつり、盛岡さんさ踊り、わんこそば全日本大会、いわて雪まつり
  • 名所・名物:平泉、八幡平、浄土ヶ浜、盛岡冷麺、盛岡じゃじゃ麺、南部鉄器

今春から秋にかけて放送されたNHK朝のテレビ小説『あまちゃん』のヒット、そして9月には三陸ジオパークが日本ジオパークとして認定されるなど、注目を集めている岩手県。「今年4月から7月までの県内主要観光地・14カ所における観光入込客数は2010年比で7.3%増、前年比では2.7%減となったが、『あまちゃん』効果によってロケ地となった久慈市沿岸部の主要観光地が賑わいを見せています」と観光課の宣伝誘客担当者は話す。

2012年度全体で見ても東日本大震災発生後の復興支援による機運やJRによる「いわてデスティネーションキャンペーン」の効果もあり、観光客数は前年度比15.0%増の2741万7203人となっている。また4月から9月にかけて、「いわて復興応援バスツアー」を実施。陸前高田や釜石、南三陸など7コースを用意し、震災を体験したガイドから復興の状況について解説したほか、ツアー料金のうち500円が復興支援に充てられた。

左上から時計回りに、わんこそば・冷麺・じゃじゃ麺は「盛岡三大麺」/毎年8月に開催される「盛岡さんさ踊り」/国指定の伝統的工芸品「南部鉄器」は海外でも人気/宮古市にある海岸「浄土ヶ浜」は三陸ジオパークの見所の一つ

風評被害払拭へ首都圏でPR

    「いわて食財サポーター」として有名シェフが広告に登場。

    いわて食財サポーター

    地元・岩手の生産者たちも、岩手産食材の安全性をアピール。専用サイトでも情報を発信している。

観光PRとともに昨年度から力を入れているのが、「いわて食材販路回復拡大推進事業」だ。岩手県では震災後の原発事故により牛肉、しいたけなどの販売額が減少、風評被害が課題となっている。そこで広告や首都圏での商談会を通じて、岩手県の農林水産物のPRを続けている。

昨年度の取り組みの結果、岩手県産食材の利用意向に関する調査で「よく利用する」(12%)、「たまに利用する」(49%)と回答した消費者の割合が、今後については「ぜひ利用したい」(67%)、「たまには利用したい」(31%)へと増加した。また「東京・大阪・福岡で商談会を開催したことで、新たな取引先が生まれるなど具体的な成果が見えてきた」と流通課の企画マーケティング担当者は話す。

その中で8月には従来の取り組みに加え、「いわてブランド再生推進事業」もスタート。JALの機内誌『SKYWARD』や『レタスクラブ』などの生活情報誌、週刊誌などの記事広告も活用し、全国に向けた情報発信を強化している。メインターゲットは「小さな子どもを持つ40代の主婦」としており、生産者の一生懸命な姿と農林水産物の魅力を発信する中で「いわてブランド」に対する信頼回復と応援してくれるファンづくりに取り組んでいる。

広告媒体も積極的に活用しており、8月末にはJR山手線、京浜東北線、中央線の中づり広告と雑誌広告、WEBでの記事掲載を連動させた。WEB上では公式Facebookページも開設しており、プレゼントキャンペーンなども活用しながらFacebookを通じて「いわて食財応援団」を形成していく仕組みを目指している。

また、クリエイティブでは岩手の食材に関心の高い著名な料理人を「いわて食財サポーター」として各種広告に起用。「味が濃いんだ。ほんとの野菜の味がするよ」(シチリアーナ・ドンチッチョの石川勉シェフ)、「うちの店では岩手米。そう言うと驚かれるよ。」(ナイルレストランのG.M.ナイルシェフ)、「そのまま焼くだけでバターの香りがするんだ、前沢牛は。」(レストランロレオール・伊藤勝康シェフ)といった生の声をそのままコピーに使用した。同時に岩手の地元の生産者たちも登場させている。

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