テクノロジーを武器として、可視化の恩恵を受けるには、PDCAを行い、目的・ターゲット・戦略・活動内容を日々改善していくデータドリブン型組織が理想。しかし、実現には越えるべき壁がいくつもある。
コミュニケーション活動にどう活かすか
情報の過多や、モノ・サービスが溢れるといった消費者を取り巻く状況の変化に加え、デジタルによるメディア環境の変化によって、企業のメッセージはより一層届きにくくなってきた。一方、マーケティング費用を含む投資への管理がシビアになるなど企業の宣伝・広報部門の状況も変わってきた中、「広告を出す」ことが活動の目的ではなく、改めてマーケティング、広告そのもののあり方が見直されている。このような状況で、デジタルテクノロジーによる「効果の可視化」と「最適化」といったデジタルマーケティングの本質は、マーケターにとってマーケティング変革を押し進める武器と考えることができる。
では、このデジタルテクノロジーを武器として、可視化によるメリットをどうコミュニケーションに活かしていけばよいのだろうか。
各種広告効果の可視化やアトリビューション、モデリングなどによる、投資の最適化は主たる宣伝・広告担当にとってのメリットであり、積極的に改善を進めている企業も少しずつ見られるようになってきた。ただ、残念ながら経営層や各部署はこういった数字や考え方に対して懐疑的になり、結局、改善の提案は出されても採用されないというケースも少なからず見られる。
こうしたなか、改めてデータを活用した改善のための有効な手法として見直されているのが、「テスト」である。AmazonやGoogleなどがWEBサイトのレイアウトやコミュニケーションについて膨大なテストを行っていることはご存知の方も多いと思う。広告コミュニケーション、WEBサイト、アプリなどの改善のため、多くの企業が取り組み、また、その活動をサポートするものとして、当社アドビや多くの企業から「テスト」関連ソリューションが次々と提供されている状況となっている。
このテストとは、複雑な計算や、モデルというものが理解しづらい方でも、
・実際の顧客に対してAとBのメッセージを見せたところAがより反応とビジネス結果を生み出した。
・あるモデルを適応しない場合と適応した場合、モデルを適応した方にこれだけの改善が見られた。
という形で、シンプルに良し悪しや改善の効果を理解でき、デザイナーやコピーライター、宣伝・広告担当者の勘や経験ではなく、顧客とのコミュニケーションの現場で実際の反応をデータで確認しながら、確実な改善を進められる手法である。
データドリブン型組織を作り上げることが理想
可視化やテストによって、宣伝・広告活動についてのPDCAマネジメントを行い、各活動の目的、ターゲット、戦略、活動内容を日々改善していくデータドリブン型組織を作り上げることが理想的となる。しかし、PDCAマネジメントにおいてP(Plan)、D(Do)、C(Check)、A(Act)とある通り、Check=可視化だけでなく、Act=改善・最適化までが本当の目的であるべきなのだが、多くの組織は依然として、効果の可視化だけにとどまり、分析による活動改善、投資の最適化という最大限の効果を引き出せずにいる。