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オリンピックとマーケティング

問題のデパート「日本」、オリンピックを呼ぶ。

米倉誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター 教授)

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、今後、世界中の注目が日本に集まります。この好機を、企業・団体、自治体が最大限に活かすには...?『宣伝会議』誌面では今後、有識者の声を通じて、そのアイデアを継続的にお届けしていきます。

ロボット

言うまでもなく日本は先進的諸問題のデパートだ。少子高齢化、地方の衰退、国際競争力減退、1000兆円に上る国の借金、そして安倍首相が何と言おうとコントロールからは、ほど遠い福島原発とそれに起因するエネルギー問題。その日本がオリンピックを呼ぼうというのだから、「いい度胸」だ。

しかし、この際こうした諸問題に対して2020年までに解決の目処をつけて、世界の人々を呼んでみるというのは面白い。どんな問題にも各種ソリューションを揃えたデパートに来ていただくという趣向だ。

僕は原発には反対だ。原発自体の安全性に対する不安はもちろんだが、仮に安全に運転しえたとしても、原発からは絶えず使用済み核燃料が排出される。この超有害物質の最終処理の方法はいまだに確立されていない。それが最大の問題なのだ。もし本気で、半減期が2万4000年もの超有害物質を出し続ける技術を我々が完全にコントロールできると考えているならば、それは傲慢にもほどがある。したがって、2020年までに日本は脱原発に目処を付ける。これは、原発や原子力の研究をやめるということではない。むしろ、廃炉プロセスを通じて世界に冠たる脱原発技術を確立するということだ。いずれインドや中国をはじめとした老朽原発施設は廃炉の時期を迎える。その時に日本の出番がやってくるのだ。これはデパートに並ぶ商品の中でもかなり高く売れそうだ。

脱原発を進めれば短期的にエネルギーコストが上がる。そうなるとどうしても省エネ、すなわちエネルギーを使わない技術の開発が必要となってくる。日本の原発依存度約30%を、太陽光をはじめとする代替エネルギーでカバーすることはそう簡単ではない。しかし、そもそもその30%の消費エネルギーを削減することなら、日本はできるかもしれない。松下幸之助さんは「3%のコストダウンは難しいが、30%はできる」と言っている。発想を変えるからだ。バングラデシュの物価水準は日本の10分の1だが、ガソリンの値段はそう変わらない。すなわち彼らは日本の10倍のエネルギーコストを支払っていることになる。日本が2020年までに画期的省エネ技術をいくつも開発すれば、これもデパートの目玉商品になる。

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