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オリンピックとマーケティング

ロンドン五輪公式エージェンシーが語る「五輪と健康増進」の関係とは?

デイブ・マッコーガン(McCann Truth Central アジア リージョナルディレクター)

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、今後、世界中の注目が日本に集まります。この好機を、企業・団体、自治体が最大限に活かすには...?『宣伝会議』誌面では今後、有識者の声を通じて、そのアイデアを継続的にお届けしていきます。

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2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市が東京に決定したという素晴らしい発表があった週末、偶然、私はシドニーで、2000年のシドニー五輪に携わっていた友人と会っていた。そこで私は、当時の五輪のプランに、開催後のプログラムが含まれていたかを聞いてみた。もちろん、新しいスタジアムとプールは両方ともその後も活用されている。オリンピック村は、使われていなかった土地を有効活用し、シドニーハーバーに隣接した場所に作られたので、その後は中流層の住宅地となっている。ただ、シドニーの市民を、より健康にする、スポーツへの参画を高めるといった話はでてこなかった。

シドニーに行ったことがある方は、もしかすると、現地の人々がスポーツ好きであるというイメージを持っているかもしれない。もちろん、スポーツをする人がいないわけではないが、それほど多くの人がスポーツに参画しているわけではないというのが実情だ。五輪開催後、10年の間「世界肥満地図」のトップ10にランクインするオーストラリアの悲しい事態がその状況を物語っている。さらについ最近、メキシコにも抜かれてしまった。

オーストラリア政府のスポーツ関連政策チームに所属する別の友人に聞いても、やはり五輪後に市民の健康増進・スポーツ参画の推進を目指そうという話は浮上しなかったという。また彼の知る限りでは、そうした企画を積極的に立てたのはロンドンだけとのこと。ロンドンでは、五輪後にも市民のスポーツ参画を促す施策を企画・展開しているそうだ。

五輪やFIFAワールドカップ(W杯)のように大規模なイベントが開催されると、人々のスポーツへの興味・関心は大きく喚起される。2002年に日本で開催されたW杯を、2006年にトリノ冬季五輪で荒川静香さんが金メダルに輝いたことで、フィギュアスケートへの関心・参画が急増したことを思い出してほしい。2000年にシドニー五輪の陸上女子400m走でキャシー・フリーマンが金メダルを獲得した際には、オーストラリアの女子学生の間で運動への大きな関心が巻き起こった。1年前にレスリングが五輪の中核競技からの除外候補にあがった際、各国のレスリング関係者は悲鳴をあげた。五輪がその競技の世界的発展に大きく影響するとわかっているからだ。

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