顧客第一主義への転換が大きなターニングポイント 進化し続けた50年
1974年、日本初のコラーゲンを配合した基礎化粧品として誕生し、2024年に50周年を迎えた「ドモホルンリンクル」。漢方の製薬会社であった再春館製薬所が、「人間も自然の一部」という漢方の考え方と、同社の科学技術を掛け合わせ、化粧品開発に挑戦したことからブランドの歴史が始まった。
ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略
アジアを中心に海外売上が8割を占める「チェキ」は、カードサイズの専用フイルムを使うインスタントカメラだ。近年、国内の販売台数も前年比2.5倍(2012年)と好調が続く。
「チェキ」のブランドネームでおなじみのインスタントカメラ「instax」の初代モデルが富士フイルムから発売されたのは、1998年のこと。デジタルカメラや携帯電話のカメラ機能がまだ普及していない時代である。
実はチェキの前身として、同社では1981年にインスタント写真システム「フォトラマ」を発売している。ところがフイルム代は1枚数百円と高価で、本体が大きすぎるという難点があった。そこでチェキの開発にあたっては、フォトラマと同等の品質を維持しながら、コンパクトで持ち歩きやすい本体と求めやすい価格を実現。フイルムの価格は1枚約80円とフォトラマの半額以下に設定した。
「撮った写真がその場でプリントできる楽しさが“プリクラ”ブーム全盛期の女子高生たちに支持され、発売直後には売り切れ店が続出するほど人気を博した」とインスタントカメラ事業の統括マネージャー、中村祥敬氏は解説する。その後もテレビCMの投下を続け、認知が広がるとともに販売台数は右肩上がりに成長。その結果、2002年度には年間100万台を販売した。
ところがその後、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話の普及により、人気に陰りが見え始める。販売台数は急激に減少、2004年の売上は最盛期の10分の1に落ち込んでしまった。発売時から続けていたテレビへの出稿も、2002年12月が最後となった。
やがて2007年ごろからチェキの復活劇が始まる。アナログカメラを知らない、10代の女子高生を中心とした“デジタルネイティブ世代”の心を捉えたのだ。「その場でプリントできるのが新鮮」「カードサイズがカワイイ!」「柔らかい画質がおしゃれ」という評判が広がるとともに、本体カラーのバリエーションや付属品などを増やし、売上を積み増していった。
2005年にはアジアへ進出を果たした。特に日本のカルチャーへの注目度が高い中国・韓国など東アジアでの売上が伸びており、今では全体売上の8割を海外が占める。
2012年はエントリーモデル「instaxmini 8」を投入、積極的なプロモーションも奏功し、国内の販売台数も前年比2.5倍を達成した。さらにグローバル全体で160万台と、これまでで最高の販売台数を記録している。
発売15周年を迎えた今年度も反転攻勢を続ける。「2013年度はグローバルで200万台販売が目標」(中村氏)とし、9月には新製品を投入したばかりだ。